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”豊穣”を冠する後継の勇者  作者: ネツアッハ=ソフ
勝利~アドナイ・ツァバオト~
24/61

エピローグ

「そいつがクロノの息子(むすこ)か?」


 今、僕の目前にヒグマ程の巨体(きょたい)はあろうかと言わんばかりの大男が居た。鋭い視線も相まって並の人物ならば委縮(いしゅく)してしまいかねない威圧感(いあつかん)を放っている。


 彼が天の川銀河全域を()べる大国アークの大統領、キングス=バードだ。ヤミを倒し、その直後彼に連絡を取りこの惑星(ほし)まで来て貰ったのである。


 今現在、飛一神と王五竜の二人が事情を説明(せつめい)している所だ。


 が、おもむろに大統領の視線が僕の方を向き、()いを投げ掛ける。


「君が、遠藤クロノの息子か?」


「はい、僕が遠藤クロノの息子のシイル=クリフォードです」


「ふむ?クリフォード?」


 僕の返答に、大統領が怪訝(けげん)な表情をする。どうやら僕の家名(かめい)がクロノさんともユキさんとも違う事に疑問を覚えたらしい。


 その疑念に答えるように、五竜が言葉を(はさ)んだ。


「彼は義理(ぎり)の息子ですよ、キングス大統領。本当の両親とは死別(しべつ)していると聞きます」


「ふむ、そうか……」


 どこか納得(なっとく)したような視線を僕に向ける大統領。これ以上話を長引かせてもアレなので、僕は本題を切り出す事にした。


「大統領、今回ブラス=スペルビアが起こした戦争(せんそう)について僕に(まか)せて貰えないでしょうか?」


「ふむ…………どういう事か()かせて貰えるか?」


「今回の一件、黒幕であるブラスが僕に刺客(しかく)を送ってきた事。宣戦布告の後に義父さんと義母さんに戦いを挑んだ事も無関係ではないと、今では(おも)っています。義父さんと義母さんに勝利し宇宙全域に宣戦布告したならまだしも、僕に刺客を送る必要(ひつよう)までは無かった筈ですから」


「ふむ、なるほど?しかし、だからと言って首を(たて)に振る理由にはならんぞ」


 確かに。それもそうだろう。あくまで、これは僕の我が儘なのだから。


 けど、それでも僕は———


「それでも僕は、黙って此処でじっとしている事だけは出来ないんです。二人の敵討(かたきう)ちなんて理由では断じてありません。何と戦うべきか、本当に(すく)うべきは何なのかをしっかり見極(みきわ)めて、その上で僕は事件と正面から向き合いたい!」


 その言葉に、大統領はしばらく(だま)り込んだ。


 正直、これで大統領が素直に首を縦に振ってくれるとは思っていない。しかし、それでも僕は此処で立ち止まり大人しくしていることだけは出来ないから。


 その意思を視線にこめて、大統領と真っ直ぐ()き合う。


「…………なるほど、分かった」


「では、」


「しかし、それでもまだ動くには(はや)い。もう少しだけ()って貰おうか」


「……と、言うと?」


「我らの切り札、概念兵器に対抗しうる改変(かいへん)兵器がもう少しで完成(かんせい)する所だ。その完成までもう少しだけ我慢して貰う」


 そう言って、大統領は不敵(ふてき)に笑みを浮かべた。


 反撃の狼煙(のろし)が、今上がる……

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