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顔合わせ

昼休み


引き継ぎを大体済ませ、昼飯も食い終わり一服するために喫煙所に向かおうと席をたつ。


と同時に羽交い締めにされ、足が宙に浮く。


「ふふ、捕まえた」


錆びたブリキ人形の様な動作で背後の人物を確認する。

そこにはキャラデザ課の姫宮梓が居た。


「げぇ、姫宮!?」


「失礼ね」


姫宮から逃げようと足掻くが足は宙に浮いてるし、背中には柔らかい物が当たっているしで振りほどけない。

身体は変異していてもステータスをアンロックしなければこんなものである。


「田辺君、アキちゃん借りていきますね」


「田辺助けろ!今が筋肉の使い時だ!」


「あ~、どうぞ」


田辺は薄情だった。

田辺は俺に向かって合掌している。


「じゃあ借りてくわね、可愛くして返してあげるから」


「嫌だー!」



こうして俺はキャラデザ課の休憩室に拉致された。

そこには既に複数の女性社員が待機しており、その手にはどこか見覚えのある複数の女性用学生服数着と化粧道具が。


「俺に乱暴するつもりだろ、エロ同人みたいに」


「そのやり取り2回目ね、アキちゃん結構楽しんでない?」


「楽しんでない、このシチュエーションに対してのマナーだ、それより服返せ」


「嫌よ、今週はずっと会社泊まりの予定でしょ?金曜になったら返してあげるから、私達のおも・・・げふん、資料作成に付き合って」


「今玩具って言おうとしたろ、それと玩具なら弟君が居るだろそっちで遊べ」


「それはそれこれはこれ、可愛い男の娘が居るなら女装させないと世界の損失よ。それよりそのままで寝たでしょ、服に皺が付いてるけど」


「仕方ないだろ変えと寝間着全部持ってかれたんだから」


「あのジャージ残してたら直ぐに着替えるでしょ」


「当たり前だ」


「でも、これからは女装してダンジョン潜ることになるのよ?その練習と思えば良いじゃない、課長兼マスコットさん」


姫宮含む女性社員達が笑顔でにじり寄ってくる。


「どう言う事だ」


「あら、聞いてない?私達が貴方の女装写真を楽しんでる時に社長が来て写真を見てね『男の娘冒険者、良いんじゃない?マスコットに採用、ついでに課長にしよう』って言ってたわよ」


あの野郎何考えてやがる、俺の事いじって愉しんでるんじゃないだろうなぁ。


「で、マスコットの職務はダンジョンに潜る際はウチのゲームに出てくる女性服を来て広告塔になってもらおうかなって、もうホームページのダンジョン課メンバー紹介で書かれてるよ」


「男の娘の需要なんてごく一部だろ」


「可愛いは正義、こんなに可愛い子が女の子のはずがない!と言うわけでこれは決定事項です、諦めて女装に慣れましょう」


「嫌だぁー!」


「大丈夫よ、天井のシミを数えていれば直ぐ終わるから」


こうして俺はまた服を剥ぎ取られ、化粧までされてゲーム内の女学生の服を着る事となった。







「・・・ただいま」


俺は精神的は疲労で足取り重く自分のデスクに戻って突伏する。

何も知らないやつから見れば今の俺は女子高生にでも見えるだろう。


「先輩、随分可愛くなりましたね」


「おのれ、よくも裏切ったなぁ」


「いやぁ、とばっちりでビキニアーマーとか着たくないので」


田辺は苦笑いしながら顔を反らした。


「そう言えば、さっき課長が来て伝言頼まれました」


「伝言って?」


「昼休み終わったら第3会議室でダンジョン探索課の顔合わせがあるそうです」


「誰が来るのかねぇ、出来ればキャラデザ課の女共は嫌だ」


「それがですね、キャラデザ課からは姫宮先輩と藤堂さんが来るそうです」


「姫宮はアレだが、藤堂ちゃんが来るのか」


藤堂優里、可愛い系の子で人気があり何人か告白しているらしいが全滅しているとの事。

又聞になるが最近の悩みは胸の重みによる肩こりだそうだ。


「にしてもダンジョンか、ニュースや国の情報だと普通の洞窟っぽいが階層降りたら空があったり密林があったりするのかね」


「なんかワクワクしますね」


「だな、ゲームに似た世界が現実にって言うのは一度は考える事だしな。

そろそろ時間だ、会議室行くか」








第3会議室


「さて、皆そろって・・・は居ないみたいだな」


この場所にはモデリング課から俺と田辺、キャラデザ課から姫宮と藤堂ちゃん、そして今会議室に入って来た社長である平高健吾が居る。


「なぁ社長さん、俺に何か言う事は無いか?」


「思ったより可愛いね、マスコットとして満点をあげましょう。

姫宮さん良くやった」


そう言いながら姫宮に向かって親指を立てる。


この男、平高健吾は高校からの同級生であり同期入社した1人ではあるが、基本何でも出来るためこうして社長を任せられている。


「やっぱ俺をイジって愉しんでるだろ」


「もちろん、こんな時に愉しまずいつ愉しむ?」


俺が平高をジト目で見ていると会議室の扉が勢いよく開かれた。


「す、すみません遅れました!」


全員の視線が勢いよく開かれた入り口に向く。

そこには頬からエラにかけて傷のある厳つい顔の男が立っていた。


彼はシナリオ課の角金厳正、変異前の外見は気弱な青年ぽかったのだが今は何処ぞの構成員風味になっている。


「角金が来たことだし、ダンジョン課の概要を説明しよう」

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