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Let It Be-最終話
晴天の陽射しが眩しい中、明るい声で挨拶をしながら大野の肩を叩いたのは、美智子だった。
「おはよう」
「おう」
いつもと変わらない学生服姿の美智子に、大野は何の屈託もなく答えてくれた。
「元気?」
「おい、一応俺は先輩だぜ。タメ口はやめろよ」
「いいじゃない。気にしない気にしない」
「しょーがねえやつだな」
「そう、しょーがないやつ」
「どうした、なんかハイじゃねえか」
「そう?こんなもんよ、あたしは」
大野は美智子の姿を一瞥すると、あきれたように言った。
「いい加減、制服変えようと思わないのかよ」
「まぁ、もうそろそろ」
「変えるのか?」
「目下、思案中」
「へぇ~、どうした心境の変化だ。男でもできたのか?」
「バーカ。そんなじゃないよ。ただ、どっちが、アタシにとって、アタシのやりたいことなのかな、って思っただけ」
「なんだそりゃ?」
「なんなんだろうね」
澄ました顔で歩く美智子に、大野は何となく安心した。美智子は、同級生の三島を見つけて大きく手を振って挨拶をしている。
「おはよう!」