次の目的地
ヤナバル王国の国境を越えた俺たちは帝国の反対側、リーブン王国の隣に有る小国、ケルベン王国の端にある小さな宿場町に居た。
「じゃあ、このままこの国を抜けてロックド王国まで足を延ばすか?」
「そうね……取り敢えずこの国の王都に行って情報を集めると言うのは如何?」
カートの問いにマーリンが意見を言う。
「そうだな……」
俺は新しく加わった仲間に視線を向ける。
「ソフィアは如何思う?」
「わたしもマーリンの意見に賛成です。
ロックド王国に向かうのは王都で情報を集めてからでも遅くないと思います」
水の紋章に選ばれたソフィアは俺たち《精霊の紋章》に加わってくれた。
なんでもソフィアは生き別れた家族を探しているそうで、その為に色々な場所を回りたいらしい。
俺たちも大陸中を巡る為、目的も一致している。
それに人類の為に戦うのは当然だとも言っていた。
多分、すごく良い奴なんだろう。
英雄になりたいなどと言う自分の動機が何だか情けなくなる。
いやいや、俺はいずれ世界最強になるのだ。
意思を強く持たなくては!
俺たちの現在の目的地はロックド王国だ。
ドワーフの国であるロックド王国で強力な武器を手に入れようという訳だ。
精霊の紋章が宿った物に関する情報を集めながら向かえば一石二鳥だ。
「よし、ではこの国の王都を目指す事にしよう」
俺たちは話し合いの末、次の目的地をケルベン王国の王都に決めてたあと、夕食のメニューを決める為の話し合いを始めるのだった。
「それで、何かわかった?」
夜、宿で夕食を囲んだ俺たちにマーリンが問い掛ける。
ケルベン王国の王都に移動した俺たちは、分担して情報収集を行なったのだ。
「俺とカートが冒険者ギルドで聞いた話では王都からロックドック王国に向かう方向に精霊の泉と呼ばれる泉があるらしい」
「取り敢えず『精霊』ってキーワードだとこれくらいだったな」
俺とカートが調べて来た事を伝える。
冒険者ギルドで精霊に関する情報を教えて貰ったのだがこの国には精霊の泉と呼ばれる場所がありらしいのだ。
もしかするとそこに精霊の紋章を宿したアイテムがあるかも知れない。
「マーリンとソフィアの方はどうだったんだ?」
マーリンとソフィアは食料や消耗品の買い出しを兼ねて行商人などから情報を集めて貰った。
「こっちは2箇所、ロックドック王国とは方向が違うけど虚無の洞窟と呼ばれている洞窟が有るそうなんだけど、その洞窟の奥には強力なマジックアイテムが封印されていると言う噂よ。
もう1つはこの国の田舎の村の教会にある神像なんだけど、何でも奇跡を起こす不思議な神像なんだと言っていたけど詳細は不明よ」
マーリン達が調べて来た場所は2箇所らしい。
「合計3箇所ですね」
「出来れば全部調べたいな」
俺は地図を広げ、ギルドで聞いて来た精霊の泉の場所に印を付ける。
マーリンにも調べて来た虚無の洞窟と神像のある村の場所を書き込んで貰う。
「虚無の洞窟と神像のある村は結構近いな」
「精霊の泉は少し離れているけどロックド王国に行く途中による事ができますね」
カートとソフィアの言葉を聞き、今後の予定を立てる。
「じゃあ、まず神像の村に行き、そこを拠点に虚無の洞窟を調べて、その後ロックドック王国に移動する途中で精霊の泉によるって事でどうだ?」
「良いと思うわ」
他のみんなからも了承を貰い、俺たちは、不思議な神像がある村を目指す事になったのだった。
 




