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那朗高校特殊放送部!

那朗高校特殊放送部~男子たちのハロウィン編~

作者: 那朗高校特殊放送部

今回の登場人物:三条翡翠、城嶋蓮、白金春人


筆者:三条翡翠


今日の部室は男子しか居ない。

そして放課後まで女子が来ない事が確定している。


つまり、今日は男子会って事が確定というわけだ!


「10月と言えば何があるか分かるな?」


俺はテーブルの反対側に居る後輩二人に聞く。


「修学旅行とか…?」

「あ、文化祭ですね?」


「まぁそれもあるけどな…」


俺が言いたかったのはそれじゃなくてな、

っていうかその二つもう終わってるじゃねぇか。


「俺が言いたいのはあれだ。”ハロウィン”だ!」


「「あぁー…」」


思ったより反応が薄いなぁ


「とにかく、俺は特殊放送部のハロウィンについて語りたい訳だ」

「先輩去年のハロウィンの時って居ましたっけ?」


ん?どうだったかな…


「まぁ細かい事は良いだろ」


去年の話はどこかに置いておいて、俺は本題に入る。


「この部には女子が多い。そしてハロウィンと言えば仮装。後はわかるな?」

「僕は勿論わかりますけどね?」

「俺もです」


ここまで言えば多分全員わかるだろうな、とは俺も思う。


「今年もうちの女子勢が何かしてくれると思うんだ俺は」


とまぁ色々言ってる訳だが、どうも後輩のレスポンスは悪い。

こういう季節物のイベントは盛り上がると思ったんだけどな…?

一応理由とか聞いてみるか。


「なんか反応悪いな…何か去年あったか?」


と聞いてみると、後輩男子二人は何かあったとばかりに首を縦に振ってくる。

まずは城嶋から話して来た。


「俺は去年コスプレさせられましたから…」


そして白金も、


「僕もいつの間にか衣装用意されてましたからね。来ませんでしたけど」


「あー……」


三人の脳裏にあのオレンジ色の女子が浮かぶ。

『せっかくだし皆もコスプレしようよー!!』

そんな幻聴が聞こえるかもしれない。


「よし、とりあえず俺らのコスプレの可能性は捨てよう」

「「はい」」


満場一致。


「でだ、まぁ大方予想ついてるとは思うけど、多分今年もあいつはやるだろう」

「夏輝先輩ですね」

「そうだ」


男子会特有のムードになってきた所を、俺はそのまま続ける。

ちょっと補足しておくと、その夏輝海という女子生徒がこの特殊放送部にいて、

そいつの趣味がコスプレなわけだ。


そのせいもあって、去年のハロウィンはあいつお手製のコスプレ衣装で部の女子を仮装させまくってたんだよな。

どうも男子も巻き込まれたっぽいけど。


「きっとあいつはまた内の女子メンバーをコスプレさせてくると思うわけよ」

「そんな気はしてます…」

「って言うか多分知り合いは全員ターゲットですよねあの人…」

「違いないな」


っていうか普通に日ごろから他の女子の採寸とかしてるの見るからな…

昼休みとかに。


「で、本題だが、今年はどうなると思う?」


机に広げられたポテチを齧りながら話題を繋げる。


「去年はあみだくじで決めてましたからねー」

「あー、ランダムだったのか、どうりで」


部長があんな格好してたわけだ。

着せられるにしても部長らしくは無かったしな。


「多分先輩の事ですし、また何か企んでるんでしょうね」

「だよなー」


去年の文化祭を思い返すと、部長が悪魔の格好で、夏輝が魔法使いで、与那嶺が…狼だったけか?

あとはまぁ、ここに居る城嶋もなんか着てたような気がするな。


挿絵(By みてみん)


「今年はどんな衣装用意してるんですかねー」


白金が背後の準備室の方を気にしながら呟いてる。

あそこはまぁ、備品倉庫とか更衣室になってるわけだけど、夏輝のコスプレ衣装とか、

その材料が沢山眠ってる。


…あれ?この前の整理で撤去したんだっけか?

その辺はまぁ、いいか。


「去年やって無くてハロウィンらしい仮装って言うと、何があるかな…」


俺らはコスプレに明るい訳じゃ無いが、ハロウィンっぽい仮装くらいは何個か思いつく。

いっつも渋谷とかで騒がれてるしな。

とまぁ記憶からハロウィンの仮装を引き出してると、最初に城嶋が提案してきた。


「あ、あれはどうです?ゾンビ」


ゾンビ…確かにありがちではあるけどな…


「ゾンビはぶっちゃけ見栄え良くないしなぁ…あいつがやりそうな感じはしないよな」


定番だけど、可愛いとか、カッコいいとか、そう言うの好きなあいつの趣味には合わなそうな気がする。


「まぁやらされるとしたら多分俺らでしょうね」

「だな」


…どうせ何か着せられるなら俺らもカッコいい奴の方が良いんだけどなぁ。

いや着なくていいならそれでいいんだが。


それは置いておいて、他にハロウィンぽい奴と言えば…


「マミーとかハロウィンらしくないか!?」


あの包帯巻きのアイツだ。

あれもガチでやると見栄えはあんまりだけど、

布地をほどほどにした感じやつは、いい感じに映えるはずだ。


「マミーは去年部長がやってましたね」

「え、マジ!?」


俺知らないけどな…

白金達にしか知らない何かがあったのか…?


「文化祭でって感じじゃなくて特殊放送部の活動として一瞬だけ、って感じでしたけどね」

「そ、そうか…どんなだったんだ?」

「なんていうか…あれで文化祭は無理だなぁ…って感じでした」

「へ、へぇ…」


見てみたいような気もするし、

そこまでなものをあの部長がしてるのを見るのも、なんだか気まずいというか、悪いような気もしてくる。


Twitterのログ遡ったら出てこねぇかな…



そして俺らは、ネットで調べながらハロウィンの仮装を(想像で)語っていくことになった。


「キョンシーとかどうだ?」

「キョンシーってどんな格好です?」

「えっと、顔にお札があって、あと…なんだ?」

「え?えっと…中華的な…?」

「あー……」

「「……」」


「思ったより印象薄いですね…」


なんとなく明確なビジョンが出てこない俺ら。


「サキュバスとかありますね…」

「そんなん学校でやったらアウトですよ…ちょっと見たいですけど…」

「因みにしてくれるとしたら誰が良い?」

「「「部長」」」

「よし、次に行こう」


これ小説に残していいのか…?


「ヴァンパイアって誰かやったか?」

「…去年俺がやりました…」

「そうだったか…いやでも女子がやるとまた印象変わるんじゃないか?」

「夏輝先輩は…なんか僕はキャラに合わない感じがしますね。…ってなると、霜月先輩?」

「なんか霜月先輩ってもう既にヴァンパイア感ありますよね…強いし」

「わかる…あいつは去年は何もしてないし、割とありえそうだな」


実はそういう血を引いててもおかしくないビジュアルと運動神経してるからなアイツ…


「ほかに去年やってない人は…」

「倉井先輩ですね。あの先輩に似合う仮装ってあるんですかね?」

「うーん…」

「あっ、魔女とか」

「でも魔法使いは去年夏輝がやってたしなぁ」

「魔女と魔法使いって別枠じゃないですか?」

「確かに。暗い色のローブとかだったら印象大分変わるか…」


「なんか魔女のローブの下は全裸って出てきたんですけど…」

「変態じゃん!!」

「いやそこまで再現はしねぇだろ…」


挿絵(By みてみん)


そんなこんなで3人であれやこれやと妄想を加速させていると、


いやこの表現ヤバいな。

とにかく、会議を重ねていると、突然部室のドアが開いた。


「「「っっっ!!!」」」


ガタンッ!と3人椅子を鳴らす。

勿論理由は、今日この部室に俺ら3人以外の生徒が来るはずが無いから。

仮に誰かが来るとなると、一番の候補は特殊放送部の女子のだれかになるわけで、

流石に女子達のどの仮装がいいかなんて、聞かれる訳にはいかないからな…


そんなだから男子3人、一斉にドアの方に振り向いたわけだが、そこに居たのは、


「あっ…やっほー」


見るからにテンションの低い夏輝海だった。


「あ、あぁ…」


急に話の主要人物が出てきた緊張と、

そいつが珍しい沈み方をしているのを見て、

なんとも微妙な返事しか返せない。


夏輝はそのままの足で棚に自分の荷物を置いて、

そのまま準備室に向かおうとする。


それを白金が引き留めて、


「夏輝先輩、今日来ないって言ってませんでしたっけ?」


と聞いてみた。

テンションは低くてもちゃんと聞こえてるようで、

いつもよりもテンションが低い状態で応えてくる。


「あのねー、今回の定期テストの点数が低くてねー」


聞かれた途端、すぐにこちらに向き直って、テーブルに倒れ込むようにうなだれてくる。

っていうかやっぱりテストダメだったのか…


「でね、先生がもっと勉強しろってさー」

「そりゃまぁ、受験生のこの時期に勉強出来ないのはダメだろ…」


目の前でオレンジ色の髪がゆさゆさと動いている。


「そうなんだよー、ちゃんと勉強しないとなーって」

「そうだな」

「だから今年のハロウィンの仮装はお預けだ、ってシトちゃんに言われちゃった」

「シト…ああ、霜月か…って、ん?お預け?」


聞き間違い…じゃないな?


「そうなんだよー…せっかく衣装とか作りかけだったのにー…」


挿絵(By みてみん)


今日はその作り途中の衣装を回収しに来たの、と

あまりキレの良くない動きをしながら準備室の方へと消えていった。


準備室のドアが閉められたのを確認した途端、3人は身を乗り出して、

小声で会議を再開する。


「だってさ」

「今年は仮装無しっぽいですね」

「ほっとしたような残念なような…」


3人で囲んで深い溜息を吐く。


高校最後のハロウィンなんだし、やっぱ同級生のコスプレとか見たかったでしょ。

まぁ、文化祭で沢山見れたとは言えな?



とまぁ、女子に面と向かってコスプレしてくれ!なんて言えない俺らの悲しい

男子会はあえなく終わりを告げるのだった。



「あ、何?仮装したかった?去年のならあるよ?」

「聞こえてたたのかよ!」

三条「ハロウィンは中止かぁ」

城嶋「まぁ、お菓子を用意する手間は省けましたね」

白金「去年は体育の隙に制服を真っ赤なズボンに差し替えられるイタズラされましたからね…」

三条「体育って、授業中だろ?どうやって一体…」

白金「さぁ………?」

夏輝「あ、トリックオアトリートはちゃんとやるよ?」

三人「えぇ…」

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