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  作者: ツヨシ
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四年間の学生生活が終わり、私は地元の会社に就職しました。


その前に父は「いい就職先がある」と言って、自分の会社の取引先に当る会社を強く勧めてきました。


私も含めて家族が誰一人頼みもしないのに、取引先に「どうか娘をよろしくお願いします」と頭を下げたそうです。


その会社は、小さな営業所は私の住む町にあるのですが、そこの人員は充分に足りていて、私が就職した際に勤める本社は、私の家から千キロ近くも離れた場所にありました。


父のもくろみは見え見えで、結果としてやぶへび、逆効果となってしましました。


父は家族会議と言う名の袋叩きにあいました。


母が離婚と言う単語を口にしたのは、このときが初めてだったそうです。



ますます家庭内で孤立していく父を尻目に、私はまるで何事もなかったかのように振る舞いました。


こうまで露骨に実の娘を排除しようとする父に、同情心など微塵も沸いてはきません。


自業自得と言うものだと思っていました。


私はどう考えても、被害者なのですから。



月日は静かに過ぎ去り、やがて私は素敵な男性と知り合い、恋に落ち、そして結婚することになりました。


そのことについて人目もはばからずに大泣きして喜ぶ父は、他人の目から見れば娘の幸せを喜ぶ良い父親に見えたことでしょう。


でも私を含め、母や兄や弟の目をごまかすことは出来ません。


父の涙は私が良い伴侶を見つけたためではなく、私がようやくこの家を出て行くことに対しての歓喜の涙なのですから。


しかしこの期に及んでそれを問いただす人は、誰もいませんでした。


みなが同じことを考えていました。

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