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  作者: ツヨシ
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その痣をその年初めて目にした父は、明らかな恐怖の色を、その顔にうかべるのです。


まだ幼い私までが気付くのですから、母も兄も当然のように気付いていました。


そして父に、あの痣がいったいどうかしたのかと、何度も問いただしたそうなのですが、父はやはり何の返答も返さなかったのです。


母も兄も後の弟も、私に気遣って私の目の前で父を問い詰めたりはしませんでしたので、私はある程度大きくなるまで、そのことを知りませんでした。



そのまま月日が経ち、私は大学受験を控える年齢になりました。


私が希望する大学は、幸いなことに家からそう遠くはない場所にありました。


その大学を希望した理由は、それが家から近かったからではありません。


たとえその大学がアメリカにあったとしても、私は迷わずそこを目指したことでしょう。


母は娘の私が遠くに行ってしまうことをひどく心配していたので、もろ手を挙げて賛成してくれました。


兄と弟も同様です。


結果私は自分の望む大学に合格し、家から通うことになりました。


その時になって、それまで口を閉ざしていた父が初めて意見したのです。


「あの大学は通えないことはないが、大学のすぐ近くに下宿したほうがいろいろと便利じゃないのか?」


母は最初呆れていましたが、やがてその感情が怒りへと変化をし、父を攻め立てました。


兄と弟もそれに加勢しました。


三対一では父に勝ち目はありません。


私は晴れて実家から大学に通うこととなりました。


その頃からでしょうか。


父が私のことを目に見えてより恐れるようになったのは。

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