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 それから3日後、結局お妃は選ばれなかった。お妃選びは候補をふたり入れ替えてやり直されることになった。


 東宮殿に再び3人の姫君が迎えられた日。皇太子殿下がお妃候補とお茶をするのを、少し離れた場所から真雪と朔夜は見守っていた。文と唯子がチラチラとこちらを気にしているのは、友人の夫がどんな男かと観察でもしているのだろう。

「今でも琴子どのがお妃さまに一番相応しいと思っているか?」

 真雪に訊かれて、朔夜は即答した。

「思ってない」

「まあ、あとは殿下の望まれる方が無事妃殿下に選ばれればめでたし、だな」

「望まれる方?」

 朔夜が横目で真雪を見た。真雪は涼しい顔で言った。

「なんだ、気づいていなかったのか。誰でもいいなら、あの方がわざわざあのように回りくどいことなどするものか。今ごろ大人しく女院が選ばれた方をお妃に迎えていたはずだ」

 わずかに眉をしかめた朔夜に、真雪が尋ねた。

「利用されて腹が立つか?」

 朔夜は少し考えてから答えた。

「ただお妃選びをやり直すためだけなら、わたしと琴子を処罰するほうが簡単だったろう。夫婦にする必要はなかった」

「優秀な護衛を失うのが惜しかっただけだ。恩を売っておけばおまえは一生殿下の側にいるしかなくなる」

「もとよりそのつもりだ。だから腹は立たない。感謝している」

 朔夜はいつもの無表情でそれだけ言うと、再び護衛の役目に集中する様子を見せた。

 正直なところ、殿下は想い人がいなかったとしても朔夜に琴子を娶せたのではないかと真雪は思っていた。この不器用な専属護衛が殿下のお気に入りであることは揺るぎない。

「殿下の望む方とはどなただ?」

 どうやら気になっていたらしい朔夜に、だが真雪は答えを与えてやるつもりはなかった。

「1カ月後にはわかるだろ」

 真雪と朔夜に背中を向けている皇太子殿下は、姫君たちには穏やかな笑みを見せているのだろう。


これにて本編は終了です。お読みいただきありがとうございます。このあと番外編を用意しております。よかったらどうぞ。

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