第18話 お昼ご飯
店に入るなり、茶葉のいい香りが体を包み込んだ。
「ああ、落ち着くな。ここの香り」
先に入ったコーヒー豆を売っている店でも言った気がする。
まあいい。
好きなものは好きなのだ。
紅茶もコーヒーも。
「お母さん!あったよ!」
トゥーナが手招きをしている。
「はいはーい。行こ、レノ」
カゴを持ってくれて入りレノの背中に手を当て、そのままトゥーナのいるところまで押して行った。
「これでいいね。はい」
トゥーナがレノの持つカゴの中に茶葉の入った袋を入れた。
「何袋買う?」
レノがそう問うてきた。
「そうだな。そろそろ雪も降ってくるだろうし、次いつここに来れるわからないからなぁ」
寒気もそろそろ本番。
雪が降り始めると止まらないらしい。
家から出るのも大変だ、と聞いた。
「ちょっと多めに買っておこうかな。もう一袋入れて」
「はーい!」
私がそう言うと、トゥーナは追加でもう一袋をカゴに入れた。
「さてさて……あとは、何か買ってないものはあるかな」
手元のメモ用紙と今まで買ったものを、一つ一つ照らし合わせて行く。
「ロウソクある?」
二人に問うた。
「ロウソク?こっちには無いよ。レノの方はどう?」
「えっと……ロウソクは……あった!」
レノがロウソクの束を持ち上げた。
「ロウソクもあるね。ということは、もう特に買うものはないかな」
リヤカーがこれまでにないくらい一杯な状態。
迫り来る初めての寒気にはこれくらい用意しておかないと気が済まないのだ。
用意周到過ぎるかな。
「じゃあ、お昼ご飯にでもする?」
太陽もちょうど真上に上がっている。
村中を歩き回ったしお腹も空いてきた。
「賛成!」
「わ、私も賛成……!」
二人ともそう返事をした。
「じゃあ決まり。お昼ご飯にしよう」
手早くリヤカーの荷台にシートを被せると、三人で食堂に向かった。
「いらっしゃいませ!」
若いお姉さんに案内され、店の奥の角の席に腰を下ろした。
「ご注文がお決まり次第お呼びください!失礼します!」
お姉さんは元気にそういうと店の奥に戻って行った。
「何にしようかな……」
メニューを開き料理を眺める。
「これも美味しそうだし……こっちもいいな……」
今までに何度か入ったことのある店なのだが、料理の種類が豊富で毎回迷ってしまう。
「トゥーナとレノはもう決めた?」
顔を上げて二人に聞く。
「決まった!」
「私も決まった」
二人の決断力に若干憧れながら、私は数ある候補の中から一つ、料理を決めた。




