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第17話 馬車

 村に着いた。

 ここから始まるであろう、本当の私の新しい人生。

 楽しみの中に、どこかぽっかり空いた穴。

 ありきたりな表現だとわかっていても、やはりそうとしか表現できない。

 この穴は、この喪失感は何だろうか。

 何か暖かい物を失った感じ。

 とても大切な何かを忘れてきたような。

 しかし、そんな妙な違和感も、新しい人生への期待感で消されてしまう。

「さて、どこに向かおうか」

 私の、クロヒメサヤの第二の人生が今始まった。


「まずは……と、何をしようか」

 何も知らない世界に急に放り出されて、右も左もわからないまま一日を過ごすのは勿体ない。

 何かしなければ。

「例えば、何か……」

 この世界を見て回ろうにも、まずお金が足りない。

 ユイさんからもらったお金も持って一週間分の食費と宿泊費と移動費少々。

 食費と宿泊費を多少削れば行けないこともないが問題はその先だ。

 さらに知らない土地で一文無しとなってみろ。

 まだ見たことはないが、店の前でボロ切れに包まれた浮浪者に成り下がってしまう。

 働こうにも、まず働き口が見つからない。

 それ以前に、やはりここ世界のことを知らなすぎる。

「やっぱりまだ厄介になるべきだったかな……」

 ここまで来て、初めて後悔の念を抱く。

「まあ、でもユイさんにも迷惑だろうし。やっぱり結果は同じか」

 ひとまず馬車でも見てみようか。


 この村からはかなりの行き先の馬車が出ているらしい。

 その割には村は小さいが。

 中央案内所のようなところで路線図のような地図をもらう。

 どうやらこの世界の馬車は運行時間が決まっているらしい。

 麻袋と相談していくつか行き先の候補をあげる。

「ここと……ここも行けそうだ。で、こっちは……」

 ほかの村に行くのなら、なるべく大きなところがいい。

 その方が色々と楽そう。

「こんなところか……」

 調べてみたところ、この村の隣に大きな街があるらしい。

「時間も……もうそろそろ出発か。どうしようかな」

 今ここで馬車に乗り込み街へ出るも良し。このままこの村に留まるのも良し。

 可能性はいくらでもある。

 しかし、その選択を間違えれば取り返しのつかないことになる。

 もう一度慎重に考え直せ。

 そう自分に問いかける。

 未だ定まらない自らの生きる目的。

 その道筋。

「落ち着け……落ち着け、自分……」

 そう早まることでもないのではないか。

 もう少しじっくりと目的を探し出して、自分に合ったタイミングでその道に合流。

 今からでも遅くない。

 二度とない人生のやり直しだ。

 今度こそ後悔の無いように決めたい。

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