第15話 挑戦
「村まで遠くないですか?」
横を歩くサヤがそんなことを問うて来た。
「まあ言われてみれば遠いよね。それがどうかした?」
「いや、そのなんて言うか……」
曖昧なサヤの返事に、
「あ、もしかして疲れた?休憩しようか?」
ふと浮かんだそんな言葉を返した。
家を出てからここまでの、かなりの間を休み無しで歩いたからな。
彼女には少し無理をさせてしまっただろうか。
「いや、疲れてはいません!そこは大丈夫です!」
そんな思いを吹き飛ばすような元気な返事がサヤからは返って来た。
「そう?じゃあこのまま歩き続けるよ?」
彼女の言葉を信じもう少し進むことにした。
「はい!了解です」
私とサヤは前を向くと再び、黙々と村を目指して歩き続けた。
私の牽くリヤカーの荷台ではトゥーナとレノとユーナが仲良くじゃれあっている。
「あ、違うんですよ。別に疲れたとかそう言う事じゃなくて」
「え、何?別の事?」
「いや……これだけ歩くのなら村から近いところに住めばよかったのに、と」
そう言うことね。
確かに村から遠いと色々不便だな。
「ただ生活するだけならその方が楽だよね。でも敢えて離れてるのにはちょっとした理由があって」
「理由、ですか?」
サヤが首を傾げる。
「そう。話すと長くなるんだけど……まあまだ村まで時間も掛かるしいいか」
私はサヤにその理由を話し始めた。
「私ね、村が創りたいの」
「え?」
キョトンとした顔をするサヤ。
「私とトゥーナとレノとユーナのみんなで、一から村を起こしてそこでずっと暮らす」
何かを言おうとしたとしたサヤが口を閉じた。
「村を自分で創ることにあっちの世界にいた時から憧れてて。で、こっちに来た時にふとチャンスが舞い込んで来てね」
「チャンス、ですか?」
私は振り返えると、後ろにいるトゥーナを指差した。
「え?トゥーナちゃん、ですか?」
サヤが再び首を傾げる。
「そう、トゥーナ」
「えっと……ごめんなさい、よくわからないです」
「あ、別に謝らなくてもいいよ。今から話すから」
申し訳なさそうな顔をするサヤにそう言って続きを話し始めるとか
「こっちの世界で目を覚ました時に目の前にトゥーナがいてね。一緒に村を創ろうって言われたの」
頷くサヤ。
「それでもともとそう言う村に憧れたんだけど、せっかく新しい人生も始まったし、村創りに挑戦してみようかなって」
「……そんな簡単に創れるんですか?村って」
訝しげにこちら見つめる。
その視線を痛いくらいに受けながら続きを話し始めた。
「私自身、村を創った経験なんて今までにないし、そう簡単にできるとも思ってないよ。でも、まずは挑戦してみないと」
「…………」
ジッと目が合う。
お互いに合った瞳を離そうとせず、そのまま見つめ合い続けた。
しばらくして、
「なんか、大変そうな夢ですね」
サヤがそう言った。
「ふふ、大変そうって。確かに大変だよ。まだ村ができる兆しも見えないし」
やっと家ができたばかりなのだ。
本格的な村創りはこれから。
「でも、楽しそうですね」
隣を歩く少女はそう言った。




