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第11話 胸囲格差

「お風呂沸いたよー」

「はーい!」

 私がそう言うと、トゥーナが元気よく返事をした。

「トゥーナ、入っちゃって!レノと一緒にね」

「わかった!レノ!」

 トゥーナは、ユーナと木の実で遊んでいたレノの肩をポンと叩く。

「ん?どうしたの、姉さん?」

 振り向き首を傾げるレノ。

「お風呂行こ!」

 トゥーナはレノの手を引いてお風呂場の方へと走って行った。

「サヤ、お風呂なんだけどあとでもいい?先にあの子達を入れちゃって寝かせたいんだけど……」

 テーブルの向かいに座って、三杯目の紅茶を啜っていたサヤにそう声をかけた。

「あ、別に大丈夫ですよ」

 サヤは快く返事をしてくれた。

「そう?ごめんね。お客様なのに」

「いえいえ、気にしないでください」

 ひらひらと手を振って答える。

「もしあれなら、二人が出たあとお風呂洗い直すけど。どうする?」

「いや、そのまま入りますよ。温泉とか銭湯とかもそのままじゃないですか」

「あ……まあそうだよね」

 せめて追い焚きくらいはしておこう。

 あの二人が入ったあとは、いつも何故かぬるいから。

「じゃあ、二人が入ったらそのまま続けて入っちゃって」

「はい、了解です」

 サヤはカップに入っていた紅茶を飲み干すと、再び注ぎ始めた。

 一体彼女は何杯飲むつもりなのだろうか。

 そうだ、お風呂と言えば、

「着替えなんだけど……ある?」

 私がそう問うと、サヤはカップを持ち上げていた手を止め、

「あ……」

 ポツリとそんなことを呟いた。


「これとか……着られるかな」

 タンスの中からサヤが着れそうな服を引っ張り出す。

「それに、こっちはどうかな」

「ええと……これは少し小さいですかね」

 身長は同じくらいだし、いくつかは着れる服もあるだろう。

「じゃあこっちは?」

 手当たり次第にどんどん渡していく。

「その……あの、む、胸がキツイです……」

「…………」

 失念していた。


 彼女は私より胸が大きい。


 私よりも確実に大きい。

 一回り、いやそれ以上か。

 わからないが、もしかしたらあれが一般的な大きさであり、私自身が小さいのかもしれない。

 ああ、どうして神さまは公平にしてくれなかったのだろうか。

 人類皆平等とはどのことだ。

「あ、すみません……!ごめんなさい、悪気はなくて」

「いいよ……気にしないで……」

 サヤがものすごい勢いで謝ってきた。

 まあこればかりかは仕方がない。

 持って生まれてきたスペックの違いだから。

 文句の付け所なんてないし。

「そうだなぁ……あとはこれくらいかな」

 なるべく胸元が広がりそうな、または大きめの服を選んで渡す。

「これなら……大丈夫そうです」

 数少ない選択肢の中から、なんとかサヤの胸に合う服が見つかったようだ。

「よかった。じゃあそれ着てくれていいから」

 これで困っていたことはひとまず解決することができた。

「あとは寝るところだけど、このベッドね」

「わかりました。じゃあお借りします」

「うん、また何かあったら言ってね」

「はい」

 サヤがそう返事をした時、風呂場のドアが勢いよく開く音がした。

「二人が出てきたみたい。どうぞ、ゆっくり入ってきて」

 私は廊下を勢いよく走ってきた、バスタオルに身を包んだトゥーナとレノを受け止めると、風呂場を指差してそう言った。

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