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第2話 茂み

「うん……?ここ……どこ……?」

 まぶたの向こうに光を感じ目を覚ました。

 木々の隙間から漏れる太陽の光。

 木の葉が風にそよそよと揺れているのが聞こえた。

 乾いた草の匂いが微かにする。

 自分の状況がいまいち掴めないまま、ゆっくりと体を起こした。

「えっと……」

 夢でも見ているのだろうか。

 しかし草の触り心地が妙にリアルである。

「夢ではなさそうだな」

 尖った葉が肌をチクリと刺激する。

 一応原始的な方法試してみることにした。

「うん、夢じゃないね」

 左頬がヒリヒリする。

 夢ではないのなら一体ここはどこなのだろうか。

「あ……」

 そう言えば大事なことを思い出した。

 ここで目覚める前に、天使と会話をしたんだった。

 で、そこで私が確か新しい世界でもう一度人生やり直すって言ったような気がする。

 ということは、ここは新しい世界で間違いなさそうだ。

「多分そういうことだろうな」

 どうやら本当に新しい世界に来れたらしい。

 実際に天使と会う前は駅にいたわけだし、あの駅の近くにこれ程なまでに木の生えてる場所もない。

「やっぱり別の世界か……」

 第二の人生が始まったらしい。

 始まったのだが、

「まずはここを出ないと……」

 この深そうな森を抜けなければいけない。

 どうせ新しい世界に送ってくれるなら、村とか街にしてくれれば良かったのに。

「さてと、どっちに行こうかな」

 右と左を交互に見る。

「うん、変わらない」

 最初に見た方に行けば何かあるかもしれないが、ぐるぐる回りすぎて忘れてしまった。

 なので結局、適当にそこらに落ちていた枝を立てて、倒れた方に行くことにする。

「よし……どっちに倒れるかな」

 枝を立ててそっと手を離す。

 パサリと音を立てて右側に倒した。

「よし、じゃあこっちに行こう」

 私は枝の倒れた方向に向かって歩き出そうとした。

 その瞬間、

「……ん?声?」

 どこかから女の子二人分の声が聞こえてきた。

 二人いるらしい。

「誰だろう」

 声がこちらに近づいてきている。

 私は正体のわからない女の子達から隠れるように、近くにあった茂みの陰で息を殺した。

「早いところ帰ろ?」

「うん、そうだね」

 キノコやら山菜やらがたくさん入ったカゴを二人で協力して持っている姿が微笑ましい。

 右の女の子の肩にリスらしき小動物が、ドングリらしき木の実を抱えて乗っかっている。

 左の女の子は髪がとても白い。

「これだけ採れれば今夜もご馳走だね」

 リスを乗せた女の子が白い髪の女の子にそう話しかける。

 見た目が似ているわけではないけれど、どこか姉妹のような雰囲気。

 そんな二人に話しかけようか、それともそのままやり過ごそうか。

 どうするかを考えていたその時、

「ねえレノ、あそこに何かいるよ?」

 リスを乗せた女の子が私の隠れている茂みを指差した。

「あっ……」

 見つかってしまった。

 二人の女の子はゆっくりとこちらに近づいて来る。

「何だろう」

「動物かな」

 動物だと思って見逃してくれ!

 しかし、そんな私の思いも虚しく、二人の女の子は、

「お姉さん、こんなところで何やってるの?」

「お姉さん……?」

 私の目の前でそう言った。

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