第35話 新居で隠れんぼ
この世界に来てからどのくらいの時間が経ったのだろうか。
トゥーナやレノと出会ってからどのくらい時間が経ったのだろうか。
家を作り始めてどのくらい経ったのだろうか。
今日やっと、第一のターニングポイントに到達した。
「これで完成?」
「やっと出来たの?」
「うん。やっと、出来たよ」
三人で並んで眺める。
三人で一から作った新居を。
「トゥーナが一番乗り!」
「ね、姉さん待って……!」
二人が元気よく玄関扉へと駆け寄って行った。
私が玄関に到達する頃にはもう二人は家の中に入って行ったらしく、姿が見えない。
ただ楽しそうな二人の声が聞こえるだけ。
「さてさて、二人はどこに行ったのかな……?」
ひとまず玄関から見て右側にある部屋に入ることにした。
家具などはまだ搬入していないので、中には何もないが、今のところここはリビングになる予定の部屋である。
リビングから繋がるようにカウンターと小さめのキッチン。
そしてキッチンの横に立て掛けてあるハシゴを登るとロフトに行くことができる。
「いい感じだなぁ……太陽の光も気持ちいい」
窓から差し込む日の光が、部屋全体を均等に照らしている。
「ここら辺にソファを置いて……ここにテーブルかな。あそこだと小さめのダイニングテーブルなら置けるかな」
今から家具選びが楽しみだ。
明日あたりにも村に家具を見に行ってみようかな。
「あ、そう言えばトゥーナとレノはどこだろう」
家具のことばかり考えていて、完全に忘れていたけどここにはいなさそうだ。
と言うことは、あと三つ残ってるどこかの部屋にいるはず。
ひとまずリビングを出た。
「まあ、まずはここから……」
目の前の部屋の扉を開けた。
ぐるりと見回す。
「いない、か……」
いないなら次。
どうせ残る二部屋のどちらかにはいるだろう。
と思って順に扉を開けて一部屋ずつ見て回った。
が、
「ん……どこ行った……?」
三つの部屋にのどこにも、トゥーナとレノはいなかった。
「嘘、全部屋見たのに……」
見忘れた部屋などあるはずがない。
一応玄関に戻り靴を見る。
「三人分……」
私の履いていた靴と、子供サイズの可愛らしい靴が二足。
「外には出てないか。じゃあ、まさかリビングに戻ってるって言うの……?」
一本道の廊下ですれ違うこともなかったのに、最初に確認したリビングにいるなんてことはあり得るのだろうか。
若干の恐怖を覚えながらリビングに戻った。
「……いないじゃん」
ここでホッと安堵した自分がいた。
でもこれほどなまでに限られた空間でいなくなるなんて、あの二人は一体何者なのだろうか。
「瞬間移動でも使ったのかな……」
「ふふ……瞬間移動だって、レノ……」
「瞬間移動……?」
「ん?」
今声が聞こえた気がした。
コソコソと最小限にまで絞った声が。
どうやら上の方から聞こえてきたらしい。
「ん……上?」
上の方と言うと……
キッチンの横に立てかけてあるハシゴが目に留まった。
「あ!」
わかった。
私はハシゴに手を掛けるとゆっくりと登り始めた。
そして、
「いたー……」
ロフトの上で身を縮めてこちらを見つめる二つの顔があった。
「ずっとここにいたの?」
私がそう問うと、
「うん!ずっとここにいたよ!」
レノがそう答えた。
「すぐに見つかると思ったけど、お母さんが出て行っちゃったから……」
そうか。
最初にここに入った時、ロフトの上まで確認しなかった。
だからそのあと三部屋探しても見つからなかったのか。
「やっと見つけられたよ。二人ともどこかに瞬間移動でもしたのじゃと思っちゃった」
「瞬間移動?トゥーナもレノもそんなことは出来ないよー」
トゥーナとレノが楽しそうに笑った。
「さて、じゃあ向こうの家の荷物でも移動させようか」
私がそう言うと、二人は元気よく返事をしてロフトから降りて行った。
「早めに荷物を移動させちゃって、家が完成した記念にお祝いでも開こうか」
私は二人にそう提案した。
今夜は賑やかになりそうだ




