第34話 二回作業
「この葉っぱって本当に水弾くの?」
トゥーナが顔ほどもある大きな葉を持ち上げてそう言った。
「やってみる?」
私はそう言うと、落ちていた板にその葉っぱを貼り付けて石に立てかけた。
「見ててね?」
川で汲んできた水をそっとその葉っぱに垂らす。
すると、
「ほんとだ!」
「弾いてる……」
葉っぱの上を静かに水玉が滑り落ちていった。
「凄いでしょ?これを屋根に敷くの。そうすれば雨水は染み込まずに全部流れる」
「へー、なるほど」
本当は普通の葉でも水は弾いてくれる。
が、どうやら普通の葉だと、少しずつ水を吸い込んでしまうようだ。
水が染み込んでしまうと、次第に葉が腐ってきて、防水の意味がなくなってしまう。
しかし、このハスの葉の様なこれを使うと、超撥水性で水が全く染み込まず、長年役目を果たしてくれるそう。
「これを屋根に敷くんだけど……できる?」
私がそう問うと、トゥーナとレノはコクリと頷いた。
「よし、じゃあ始めようか」
束ねた葉っぱと釘を持って三人で屋根に上がる。
「屋根板を貼った時と同じ様に、下から重ねて貼っていくよ」
万が一屋根板を通り抜けて水が流れてきた際、下から重ねて貼っていれば、水は葉っぱの上を綺麗に流れてくれる。
この前も使った方法だ。
二人も出来るはず。
三人で談笑しながら進めること約二時間。
一通り葉っぱを貼ることができた。
「こんな感じでいいの?」
「完成?」
トゥーナとレノが両手に葉っぱを持って問うてくる。
「うん、お疲れ様。葉っぱは貼り終えたよ」
私がそう答えると、二人は満足そうな笑みを浮かべた。
「次は何の作業をするの?」
「ん、次?次に進んじゃう?」
今日は葉っぱを屋根に貼るところで終えようと思っていたが、どうやら二人ともまだ作業を進める気満々なようだ。
「もう少し進める?でも無理はしちゃダメだよ?」
そう二人に言うと、
「トゥーナまだ大丈夫!」
「私も大丈夫……!」
そんな言葉が返ってきた。
「じゃあ続けようか」
二人の要望もあり、作業を続けることにした。
「次の作業もまた屋根板を貼る作業なんだけど……本当にいい?」
同じような作業ばっかりやって二人とも飽きないかな。
心配になったので一応そう聞いてみたのだが、
「いいよ!やろ!」
「板貼るのも楽しいから……!」
だそうで。
再び三人で板を持って屋根に上がった。
今度貼る板は一番最初に貼った板とは少し違う。
一番外気にさらされる板なので、防腐処理をしっかりしておかなければいけない。
そこで、あらかじめ村で買っておいた防腐剤を、三人で手分けして塗った板を使っている。
あっちの世界で言う、柿渋の様なものだ。
物凄い臭いで死ぬかと思ったが、何とか三人で生き延びてみせた。
「もう臭いはしないね」
トゥーナがそう言いながら木の臭いを嗅いでいる。
「あの時は死ぬかと思った……」
レノが目を閉じた。
「そうだね……次からはもうちょっと工夫しよ……」
嫌なことを思い出してしまった。
「……まあ、今はもう臭いはしないし、気を取り直して作業を進めていこうか」
そう言って、本日二回目の屋根上作業に取り掛かった。




