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第25話 四十五番

「お母さん、そっちに四十五番ない?」

 トゥーナが辺りをキョロキョロと見回す。

「四十五番?」

 どうやら四十五番の板を探しているようだ。

 私は自分の周りを見る。

 が、私のところにはない。

「私のところにはないね。レノのところは……」

 肩を叩きレノを呼ぶ。

「ん、なに?お母さん」

 レノが振り向く。

「トゥーナが四十五番の板ないかって」

「四十五番?ちょっと待って……」

 レノが持っていた板を置いて横のストックを探し始めた。

「ありがと」

 私はお礼を言うと作業に戻った。

 ただ今私たちが行なっている作業というのは、床張りというもの。

 この前並べた丸太の上に、床となる板を貼っていた。

 細長い、四隅に小さな穴の空いた板を丸太の上に乗せ、その小さな穴へ短く切った丸い木材を入れる。

 いわゆるダボというものだ。

 やはり床というのは直接足で触れる部分。なるべく危険のないように作りたい。

 釘を使って、もし足に刺さったら大変だからね。

「姉さん、四十五番ここにある」

「取ってー!」

 レノが赤いチョークで四十五番と書かれた板を見つけた。

「えっと……お母さん、これ渡して」

 背中をツンツンと突かれた。

「ん?」

「この板、姉さんに渡して」

「ああ、了解」

 レノから四十五番を受け取ると、そのままトゥーナに渡した。

「ありがとう、お母さんとレノ」

「どういたしまして」

 そう返事をして作業に戻った。


「あと何枚くらい?」

 私は二人にそう聞いた。

「トゥーナはあと十枚」

「私はあと四枚」

 二人とも結構終わってるな。

「で、私は張り終わったと」

 一番多く張って一番早く終わった。

 まあ当然だろう。

 大人と子供では作業スピードが違うから。

「じゃあトゥーナから五枚貰うよ」

「で、レノからは……」

 一枚貰うよ、そう言おうとした。

 が、

「姉さん、私も姉さんから二枚貰うよ」

 レノがそんなことを言った。


「は……?」

 は……?


  素っ頓狂な声が出た。

 私はてっきりレノが板を渡してくると思ったのに。

「え?いいよ。私一人で五枚頑張れるから!それに私が二枚あげちゃうとレノの分が余分に増えちゃう!」

 トゥーナが拒否。

 でも、

「大丈夫。私速いから」

 レノがドンと薄い胸を叩いた。

「そう……?いいの?」

「本当に大丈夫?」

 私もそう問う。

「大丈夫。お母さんとトゥーナのため」

 レノはそう言うと、トゥーナから板を受け取り作業に戻った。


 それから二十分少々。

 本当に、

「速かったね……」

「レノ、よく頑張ったね……」

 大丈夫だった。

 むしろレノの方が私たちより早く終わった。

「お疲れ様だね。二人が頑張ってくれたおかげで、ほら見て」

 私はあるところを指差す。

「おおー!」

「すごい……!」

 綺麗に床が張られていた。

  家一面に。

「ついに床までできたね」

 これで全行程の三分の一まで来ただろうか。

 あとは壁作りと屋根。

 この先大型イベントが盛りだくさんだ。

 まあ、ひとまずひと段落かな。


 私の夢は村を創ること。

 のんびり暮らせる豊かな村。

 都会とかけ離れた光景を今目の当たりにして、私は好奇心でいっぱいだ。

 やりたいことは沢山ある。

 それらを可能な限り実現して、自分で満足する。

 それが私の村創りのゴールだ。

 そのゴールに向けて、ひたすら走り続けよう。

 大事な家族と共に。

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