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第21話 床板

「さて、ひとまず下二段は組み終わったと」

 半分にした丸太の上に、先ほど少し削った丸太を乗せた。

「あとは上に丸太を乗せるだけ?」

 トゥーナがスカートについた木屑をパンパンと払いながら問うてきた。

「そうなんだけど……先に床を張ろうと思う」

「床?」

 今度はレノが問うてきた。

「うん。床を基礎と同じ高さまで上げたい」

 私たちの住んでいるテルン地方は比較的温暖湿潤な気候。

 日本と同じような感じだ。

 四季はかなりはっきりしているらしい。

 私はまだ見たことがないので知らないけど。

「床を上げると何かあるの?」

 トゥーナが首をかしげる。

「例えばね、雨が降った時って地面が濡れてむわっとするでしょ?で、直接地面に床を敷いてるとそのむわっとしたのが家の中に入ってきちゃう」

「それはやだ……」

 レノが首をプルプル振った。

「でも、床を上げるとある程度防ぐことができる」

 日本の家もほとんどがそうだった気がする。

 私が住んでいたマンションは知らないけど、実家の方は純和風建築で、床下に潜れるくらいの高さがあった。

 小さい時はよくそこに潜って、吉江さんに怒られたっけ。

 懐かしいなぁ。

 そう言えば、吉江さんは元気だろうか。

 あの方には自分の孫のように可愛がってもらった。

「お母さん?どうしたの?」

 過去のことを思い出していたら、ツンツンとお腹を突かれた。

「ん?ああ、ごめん。ちょっと考え事をね……」

 レノにそう言うと私は、先ほどの説明の続きを始めた。

「湿気防止の他にもね、大きな虫とか動物からも家を守るんだよ」

「え?大きな虫?」

「動物?」

 二人が揃って首を傾げた。

「例えばそのまま床を敷くと、地面から出てきた虫さんが、床板を破って入ってきちゃう」

「えっと……外に出ようとして、土と一緒に床板を破って入ってきちゃうってこと?」

「まあそんな感じ。でも床が高いと、床と地面の隙間に出てこられるでしょ?そうすれば家の中に入ってこない」

 なるほど、と頷くレノ。

「じゃあ動物も同じ?」

 トゥーナが興味ありげに聞いてきた。

「そうだね、ここら辺のウサギは土に潜るって聞くし。歯も硬いから、床板を破られちゃう」

 弥生時代の高床式倉庫も害獣対策で高くしていたと聞いたことがある。

 今回みたいに、床から直接登場するから、ってわけではないけどね。

「そう言うわけで、基礎と同じ高さに切った丸太をこの中に置いていこうと思うの」

 丸太を置けば、あとはその上に板を張るだけ。

 板を作るのが少し厄介だけど、私たちでもできそうだ。

「じゃあ早速作ろうよ!」

 トゥーナが置いてあったノコギリを持ち上げようとした。

「トゥーナ、今日はもう遅いし疲れてるだろうから、続きは明日にしよう?」

 もう西の空に日も沈みかけている。

「えー、まだ大丈夫だよー」

 ノコギリで丸太を切ろうとするトゥーナ。

「ダメだよ、姉さん。しっかり休まないと。だから明日にしよう?」

 レノにもなだめられて、トゥーナはやっと諦めてくれた。

「ありがとう、トゥーナ。今日はしっかり休もう」

「……はーい」

 不貞腐れながらも、私の手に押されて家へと向かうトゥーナ。

「レノも、ありがとね」

「大丈夫だよ、お母さん」

 レノの肩にポンと手を置き、一緒に家へ戻った。

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