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第20話 釿

「これくらい削ればいいと思う」

 先程説明した通りに丸太数本の一部分をスライスした。

「一回組んでみようか」

 私はそう言うと丸太を持ち上げた。

 ちなみにこの丸太はレーネポーロと言って、女性でも軽々持ち上げることができる、とても軽い木なのである。

 軽さの割に強度は申し分なく、よく建築材料としても使われるそうだ。

 でも、もしこんな感じの木が日本にあったら軽さゆえに、台風の時に吹っ飛びそうだな。

 どの道この世界には台風たるものは存在しないから関係ないけど。

「お母さん一人で大丈夫?」

「無理しないでね?」

 よいしょと丸太を肩に担ぐと、娘二人がそう言ってくれた。

「ありがとうね。でも大丈夫だよ。この木は軽いから」

「ほんと?無理しないでね」

「そうだよ。何かあったら私達も手伝うから」

 娘達の思いやりに感謝だな。

 この二人は他人に気を配ることができるのがいいところ。

 将来が楽しみだ。

 そんなことを考えつつ、先程作った半円状の丸太に重ねる。

「どう……かな?」

 ある程度の微調整は必要だと思うけど。

「お!」

「いい感じ!」

「どれどれ……」

 二人の隣に並ぶようにしゃがみ、削った部分を眺める。

「おお!意外といいじゃん!」

 思ったより隙間なくできていた。

 案外初めてでもできるんだな。

 私は建築士のセンスがあるかもしれない。

「こんな感じにするから、まだまだ削るぞ」

「そうなの?」

「じゃあ頑張らないと」

 一本削っただけではさすがに満足はできない。

 残りの丸太も早いところ削ってしまわないと。

「じゃあ頑張ろう!」

「うん!」

「手伝う!」

 さて、気合いを入れ直して削っていこうかな。


「これで大まかに削って……」

「おお……」

「やっぱりスゴイ……」

 私は古来から伝わるちょうなを使っていた。

 ちょうなとはカーブした持ち手に刃のついた道具だ。

 日本にいた時に、大工さんが使っているのを少しみたことがある。

 まさかその時の道具をいまになって使うとはな……

 驚きだ。

 人生何があるかわからないね。


「おおー!」

「薄い!」

 木の表面がかつお節のように鳴って削れていた。

 今私が使っている道具はというと、

「これはカンナって言ってね、ここについた刃で木をうすーく削るんだよ」

「へー」

「確かに薄いね」

 より薄く削れる人ほど上手い使い手らしい。

 日本にもそんな感じの文化があった気がするが、どこか共通点でもあるのだろうか?

 この世界はどこか日本と似ているところがある。

 今度調べてみようかな。


 何だかんだ道具の説明をしながら作業を進めていくとあっという間に一本を削り終わってしまう。

 その後も娘達に手伝ってもらったりしていたら、ほんの1時間で必要な分を削り終わってしまった。


「ありがとう、二人とも。意外と早く削り終わることができた」

「ほんと?お手伝いできた?」

「うん、すごく助かった!」

 私はトゥーナの頭を優しく撫でた。

「わ、私も頑張ってた?」

 トゥーナを撫でる私をを見てレノがそう問うてきた。

「もちろん。レノもよく頑張ってくれたよ。だからおいで」

 手招きをしてレノの頭も撫でる。


 しばらくその状態のまま時が流れた。


 両腕で気持ちよさそうにしている娘達を、優しく抱きしめて言う。

「二人のおかげでいつも助かってます」

 もう一度二人の頭を撫でた。

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