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第18話 金槌

 村から帰って来た翌日。

 少し遅めの朝食を済ませ、私達は家作りに戻っていた。

 今日は、早速作った石の上に丸太を載せようと思ったのだが……

 どうやら最初は丸太を半分にしなければいけないらしい。

 丸太を半分にする作業ねぇ。

 一見大変そうに聞こえるけど、このレーネポーロだと簡単なんだよね。

「まずは……これね」

 そう言って取り出したのは、木箱に大量に入った楔だった。

「これは……」

「何……?」

 トゥーナとレノはおそらく初めて見たであろうもの。

 私は、小さい頃一度だけ見たことがある。

 ただし使ったことはない。

「これは楔って言ってね……この金槌で……」

 私は横にした丸太に跨った。

 そして、先程丸太に引いた線の上に楔を合わせる。

「こうする、の!」

 カコーン!

 乾いた音とともに、楔を思い切り金槌で打ち込んだ。

 すると、楔が丸太を少し割く。

「すごい……」

「ヒビが……」

 楔を中心として丸太の上に短くヒビが入った。

「でね?これだけじゃダメなんだよね」

 そう言ってズリズリと少し後ろへ下がる。

「楔を取って」

 レノから渡たされた楔を先程と同じように線の上に合わせると、

 カコーン!

 再び打った。

 すると、メリと小さな音を立てて丸太にもう一本ヒビが入る。

「これを繰り返す」

 トゥーナとレノの方を見てそう言った。


 カコーン!


 カコーン!


 カコーン!


 等間隔に響く乾いた音。

 後ろへ下り楔を打つ。

 そしてまた後ろへ下がる。

 丸太の端まで来ると、再び一本目の楔まで戻り、打つ。

 すると、ヒビが広がる。


 繰り返すこと十数回。


 カコーン!

 パキッ!

 メリリッ!


 丸太が左右にゴロリと転がった。

 カラカラと落ちる楔。

「すごい……」

「綺麗に割れた……」

 二人の目の前には真っ二つになった長い丸太。

 真ん中からちょうど綺麗に切れていた。

「上手くいった……!」

 私は小さくガッツポーズを取る。


 本当は大きな電動ノコギリとかがあれば速いのだけど、こちらの世界にそんな便利なものがある訳がない。

 あっても使えないが。

 そこで私の愛読書の、とあるページに載っていたやり方がこれ。

 丸太に少しずつ楔を打ち込む、一人で簡単に長い丸太が割れる方法。

 昨日街に行ったのは、この楔を買うためでもあった。

 ちなみにこの量の楔を私が買うとき、店のお爺さんがもの凄く驚いていた気がする。

 まあ私には知ったこっちゃないけどね。


 トゥーナとレノが地面に横たわる丸太を見て何か話している。

 そんな二人から視線を、手元へ向ける。

 黒く鈍い輝きを放つ金槌。

 そこに映った自分の顔を見て、

「お父さんとお母さんは……私が生まれ変わった世界でこんな事をしてるなんて思ってもないだろうな」

 ふとそんな事を思った。

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