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第16話 休んでいい?

 山が見る見る内に消えて行く。

 あれほどあった山もあと残り半分。

「二人とも……疲れないの……」

 河原の大きな石に腰掛ける私。

「全然大丈夫!」

「まだ行ける!」

 世の中やっぱり若さかなぁ。

「お母さんは?」

 やめなさい。

「もう休憩?」

 やめなさい。

「そっかぁー」

 やめなさい。

 10歳ほどの少女に19歳は勝てません。

「じゃあトゥーナとレノでお母さんの分まで頑張ろう?」

「そうだね、姉さん」

「……」

「お母さんは休んでて!」

「私と姉さんで頑張るから!」

 そう言い残し、二人は石運びに戻って行った。

 残された私。

「私ももう少し頑張らないと」

 娘達の後ろ姿を眺めながら、私は立ち上がった。


「あれ?お母さんもう大丈夫?」

 私に気づいたトゥーナがそう言った。

「私が頑張らないでどうするのってね」

「なるほど」

「トゥーナも休んでいいからね」

「まだ大丈夫だよ!」

 元気よく両手を突き上げるトゥーナ。

「若いっていいなぁ……」

 ポツリとそう呟くと、

「どうしたの?お母さん?」

 心配そうの私の顔を覗き込むトゥーナ。

「ううん、なんでもない。作業に戻ろう?」

「うん!」


「お母さん……大丈夫?」

 トゥーナと一緒にレノのもとへ行くと、やはりそう言われた。

「私も頑張らないと」

「無理しちゃダメだよ?」

「私なら大丈夫だから、レノとトゥーナこそ無理しちゃダメだからね」

 若いからと言って長時間労働はさせてはいけない。

 休憩も適度に取ってもらわないと。

「はーい!」

「わかった」

 トゥーナとレノの元気な返事が聞こえた。


 そこからさらに数時間。

「これで全部かな……」

 赤く染まった空が広がる。

 太陽はもう山の稜線に沈みかけていた。

 河原の山はなくなり、その代わりに家の予定地に山ができた。

 腕と腰が痛い。

 後半の作業はほとんど私がやったからだろうか。


 3人で作業を再開して少し経った頃、

『お母さん……休んでいい……?』

 トゥーナがその場に石を置き、私に聞いて来た。

『休む?いいよ、ゆっくり休みな』

 私はそう言うと、トゥーナの背中をポンと叩いた。

『ありがと……お母さん』


 そしてまた少し経った頃、今度はレノが、

『休んでいい……?お母さん』

 私の服の裾をくいくいと引っ張って来た。

『レノも休む?じゃあトゥーナと一緒に休んでおいで』

 レノの頭を優しく撫でる。

『うん……』


 ふと横の木を見ると、トゥーナとレノがもたれ合って寝ていた。

 気持ち良さそうな寝顔で、スヤスヤと寝息を立てている。

 私は二人の方によると、両腕で抱きかかえて家の方へと向かった。

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