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第4話 私の娘……?

「だって、お姉さんはトゥーナのお母さんだもん!」


 目の前の少女の発した驚くべき言葉に、私は言葉を失った。

「えっ……?お母さん……?私、が……?」

 嘘?私ってこの子のお母さんだったの?

「さすがにトゥーナちゃん、それは間違いじゃない……?」

 いくらなんでも、流石にそんなことはないんじゃ……

 そうだ。

 この子が間違っている可能性もある。

 私この子を産んだ覚えないし、第一自分で産んだ子供を忘れる母親なんていないと思うもん。

 でも、

「ううん、トゥーナはお姉さんから生まれて来たもん。だからお姉さんはトゥーナのお母さんだよー」

 ちょっと待ってくれよ……

 私の記憶が間違っていなければ、前世の日本に子供がいたわけでもない。

 それに私は今この世界に始めて来たわけだし……

「やっぱり勘違いだと思うなー、お姉さんは」

 トゥーナちゃんを見る。

「違うもん!間違いじゃないもん!トゥーナはお姉さんから生まれて来たんだもん。」

 スカートの裾をキュッと摘み、今にも涙がこぼれそうな顔をしてそう訴えて来る。

 そんなに悲しい顔をされてもなぁ……

 意見の食い違いって怖いや。

 いや、でもちょっと待てよ……?

 私にはもうこっちの世界で子供がいると言う設定で……

 そう思ったのだが、駄目だこの考えは危ない。危険すぎる。

 だってあの天使さんは日本にいた時と同じ年齢からこちらの世界でやり直しと言っていた。

 私が死んだ時は19歳。あらかじめこっちの世界に子供がいたと言う設定ならば……


 わたし10歳で妊娠してるじゃん。


 トゥーナちゃんは見たところ10歳くらいで、私は19歳。年の差約9歳

 そこまで思い至ると私の頭の中にはある一つの結論が浮かんだ


 勘違いですね


 もうそれしか考えられない。そうすれば今までの言動にも説明がつく。

「やっぱりなんかの間違い、じゃないかな?」

 私はそう聞いて見た、が。

「違うもん」

 涙目で私の顔を見つめるトゥーナちゃん。

 間違いかと思ったけど、そうじゃないのか?

 やっぱり本当に私が忘れているだけ?

 自分のことなのに自分が一番覚えていない。

「うーん……やっぱりトゥーナちゃんのお母さんは私なのかなぁ...…」

 トゥーナちゃんを見ていると、何故かそんな気がしてきた。

「やっぱり私は…本当にトゥーナちゃんの母親なのかな……」

 こちらをじっと見つめるトゥーナちゃん。

 その目はとても嘘をついているようには見えなかった。

「トゥーナちゃんが……私の娘、か」

「お姉さん…?」

 私は少し考えた。

 この子の母親が本当に私なのか。

 この子が本当に私を求めているのか。

 私がこの子の母親で本当にいいのか。


 そして私は顔を上げた。

「……ん?どうしたの……?」

 トゥーナちゃんが私の顔を覗き込んでくる。

「お姉さんね……本当にトゥーナちゃんのことは知らないの。でも、ね?ちょっとだけ、トゥーナちゃんが私の子でもいいかなって、思えちゃってさ……」

 これが私の考えた結果だ。自分の勝手な考えだけど。

 トゥーナちゃんが自分の子供でもいいんじゃないかって。

 まだトゥーナちゃんが私の娘だと完全に決まったわけではない。

 それでも何故か少し惹かれるところがあった。

「私みたいなお母さんでも、いいのかな…?」

 そっと呟く。

「トゥーナは大丈夫だよ。だってお姉さんはトゥーナのお母さんだもん。」

 私の声を聞いていたトゥーナちゃんはそう言って微笑んだ。

「そうなのかな……私は、トゥーナちゃんのお母さんなのかな……」

「うん!」

 満面の笑みで答えるトゥーナちゃん。

「……」

 私はトゥーナちゃんをじっと見つめた。

「トゥーナちゃん。今日から私はお母さん、かな」

 その言葉でトゥーナちゃんは私に飛びついてきた。

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