第15話 石運び
今日は河原で石拾い。
私とトゥーナ、レノの三人は基礎作りにちょうど良さそうな石を探しに来た。
早いもので、前回用意しておいた山のような石はもう無くなってしまったのである。
「お母さん!どんな石がいいの?」
トゥーナが河原に転がる石を見つめる。
「えっとね……」
村で買ってきた本には、角の多い石が石積みに適していると書いてあった。
しかし、
「そんな石が家の裏の河原にあるのか?」
「河原には丸い石しかないだろう?」
そんな質問が飛んできそうだ。
でも安心してください。
家の裏の河原には石積みに適した石がゴロゴロと転がっています。
だってここは川の上流部ですから。
たまに上流の方から石が転がってくるのが見えますよ。
と、そんなことはいいとして……
トゥーナとレノに石積みに適している石の特徴を伝えると、かなり速いペースで石が集まってきた。
「すごいね……もうこんなに」
「すごいでしょ!」
「頑張ったから……!」
目の前にある石の山三つをみて、
「頑張り過ぎね……」
ふとそんな言葉が漏れた。
「さて……これを向こうまでどう運ぶか……」
石は簡単に集まったが、ここからどう運ぶかが問題だ。
石一つの重さはかなりある。
素直に持ち上げて運んでいたら、腰を痛める気がする。
いかに楽に運ぶ方法……
何かないかと、考えていると、ふとある案が浮かんだ。
「この前みたいに丸太の上に載せて運ぼうか……」
この前、森で切り出した丸太を運んだ時。
普通には運べないので、丸太の上を通して運んだ。
今回も、その時の様に石を運べばいいのではないだろうか?
そうと決まれば、早速準備に取り掛かろう。
「こんな感じでいいか」
河原から家の建設予定地までの約20メートル。
丸太を三人で協力してズラリと並べてみた。
「この上を……どうやって転がすの?」
小さめの石を、並べた丸太の上に載せるトゥーナ。
「姉さん、石を板に載せて転がすんだよ」
丸太の上を石単体で転がすと思っていたトゥーナ。
でもレノは、私の考えをしっかり理解してくれていたようだ。
「わかってくれたね、レノ?」
私は、片方に長めの縄が結ばれた木の板を丸太の上に敷いた。
「じゃあ二人とも、この上に何個か石を載せてみて」
「はーい」
「わかった」
トゥーナとレノが、近くにあった石を板の上にそっと置く。
「石を載せたら……こんな感じで……縄を……引く」
少し力を掛けて縄を引いてみると、割と軽い力で板が丸太の上を転がった。
「意外と楽に運べるな……」
縄を引きながらボソリとそんなことを呟くと、
「じゃあトゥーナも引いてみたい!」
トゥーナがピョコリと現れた。
「トゥーナも引いてみるの?」
私がそう問うと、
「うん!」
満面の笑みでそう返事をした。
「気をつけてね」
「はーい」
トゥーナがゆっくりと縄を引き始める。
「どう?姉さん」
トゥーナの横で眺めるレノ。
「意外と軽いよ」
「そうなの?」
「うん、レノでも引けるかな」
はい、とレノに縄を手渡すトゥーナ。
「あ、ありがとう」
縄を両手で受け取ると、レノはかなり慎重に引き始めた。
「あ、軽い……」
レノの力でも楽々進んだ。
「二人も引けるじゃん」
意外と名案だったかもしれないぞ。
これなら三人交代でどんどん運べるな。
「じゃあ三人で、あそこにある石を全部運んじゃおうか?」
楽しそうに縄を引く娘たち。
私は固まった表情でこちらを向く、二つの顔が見えた気がした。




