第14話 石積み
翌日。
「よし、今日から家作りを再開しよう」
朝食の時に、私はトゥーナとレノにそう宣言した。
「お母さん治ったの?」
「うん、もう完璧」
グッと親指を突き出す私。
「でも……無理したらダメだよ、お母さん」
スプーンを握ったままそう言うレノ。
「そうだね、体は壊さないよう慎重に作業をして行こうか」
無理はせず、ね。
体を壊したら元も子もない。
「じゃあ、早いとこ朝食を食べちゃって……作業をしようか」
「了解!」
「わかった……!」
トゥーナをレノはそれぞれ返事をすると、朝食に戻った。
「木は全部長さを合わせたから……今日は基礎を組もうと思う。基礎っていうのは土台のことで、それをあれで作る」
私がそう言って指差したもの。
丸太の隣で小さな山と化しているもの。
「え?石?」
「石?え?」
トゥーナとレノが首を傾げる。
「そう、石を積んで基礎を作ろうと思う」
山と化したもの正体は石。
家の裏の河原から拾ってきた大きめの石たち。
それを家の基礎に使おうと思う。
でも、一般的には家を建てる際の基礎といえばコンクリートだろう。
耐久性もあるしね。
実際私も、基礎なんてコンクリート製だけかと思ってたし。
本を読んで石積みを知った。
ちなみに、この世界にはコンクリートたる物はない。
どうやら街の建物の基礎には、大きな石を綺麗な四角形に整えて、それを並べているらしい。
しかし、私たちがそれを真似しようとすると、色々大変なことになる。
大きな石を見つけて運んだり……
石を綺麗な四角形に削ったり……
無理ね。
絶対無理。
と言うわけで、本を参考に、石積みの基礎にすることにした。
耐久性がどうか、とか言われそうだけど、どうやらこちらの世界の石積みはかなり丈夫らしくて、今も一部地域ではメインの方法だとか。
地震も長年、というより今まで起きたことがないらしいから、まあ安心かな。
「石を積むの?」
「そうだよ。例えばね……」
二人の前に大きな石と小さな石を並べた。
「いい?見ててね」
私はそう言うと、石を積み始めた。
「こうして……これを……こう……で……」
石と格闘すること約10分。
「こんな感じかな」
積み終わった。
「わ!すごい!」
「綺麗に積んである……!」
私の積み方が正しければ……
「トゥーナかレノ、どっちか乗ってみる?」
「え?乗る?」
「乗れるの……?」
石と私を交互に見始める二人。
「うん、乗れる」
私はそう言うと、トゥーナを持ち上げた。
「よいっと。どう?トゥーナ」
積んだ石の上に乗ったトゥーナ。
「どう?姉さん」
私とレノにそう問われ、ぴょんぴょんと石の上でジャンプしたトゥーナ。
「あ、意外と頑丈……」
ぴょんぴょんし続けるトゥーナ。
「大丈夫そうだな……」
そんな石積みを見て、私もボソリと呟く。
「つ、次は私も、乗りたい……!」
レノがそう言った。
「レノも乗る?」
トゥーナがぴょんと石から飛び降りた。
「じゃあレノも乗ってみるか……よいしょ」
レノを石の上に乗せる。
すると、レノもぴょんぴょんし始めた。
「グラグラしない……!」
なんか二人ともやってることが可愛いなあ。
ともあれ、ここまでジャンプしても崩れなければ大丈夫だろう。
やはりあの本は正しかった。
私の積み方も正しかった。
「じゃあ、これで家の基礎を作って行こうと思う」
「わかった!トゥーナ頑張るよ!」
「レノも、頑張る……!」
と言うわけで、私たちは早速石積みの作業に取り掛かった。
「こんな風に積んだらダメなんだよね」
説明も交えながらどんどん積んでいく。
高さは30センチほど。
置く石の向きに気をつけたり、石を一直線上に置かないようにしたり……
気をつけなければいけないこともたくさんある。
一個一個を丁寧に積んでいかなければ、最悪家が崩れてしまうことだってあり得る。
そうなったら命の危険もあるし、家族に危害を与えかねない。
そう思うと、自然と責任感が湧いて来る。
慎重かつ丁寧な作業が黙々と続いた。




