第12話 贈り物
家から30分ほど歩いた所にある大きな湖。
鮮やかな青色の水が太陽の光をキラキラと反射させる。
雲ひとつない空、緑豊かな木々、青く鮮やかな湖。
私達はそんな風景が一望できそうな、湖の近くの小高い丘に腰を下ろした。
持ってきたレジャーシートのようなものを敷き、サンドイッチの入ったカゴを置く。
靴を脱いで、シートの上に座る。
すると、丘を心地よい風が通り抜けて行った。
「いい所……」
足を伸ばして座る私。
花を摘むトゥーナとレノを眺めながら私はそう呟いた。
見事な風景だ。
私が望んだような風景の中で、大好きな娘達が遊んでいる。
出来ることならば、このまま時間を止めてしまいたい。
そう思えた。
「お母さん!見て見て!」
「これ……作りました……!」
トゥーナとレノがそう言って持ってきたものは、
「わ、すごい!」
小学生の頃によく作った花の冠と首飾りだった。
赤色と黄色の花。
「お母さんにあげる!」
トゥーナがそう言って赤色の花で出来た冠を頭に乗せてくれた。
「ありがとう、トゥーナ」
私がそうお礼を言うと、
「わ、私のも……!」
レノが首に黄色い花で出来た首飾りを掛けてくれた。
「レノも、ありがとう」
レノにもお礼を言うと二人は、
「レノ!今度はあっち行こう?」
仲良く手を繋いで、さっきとは別の方に歩いて行った。
「あんまり遠くに行かないでね」
私がそう言うと、
「はーい!」
と、トゥーナの元気な返事が聞こえてきた。
二人の後ろ姿を見送ると私は、二人が持って来てくれた冠と首飾りを眺める。
心を込めて作ってくれたらしい。
どこまでも丁寧な作りに、私は少し感動した。
ちなみにユーナはと言うと、先程からうろちょろと丘の上を駆け回っている。
どこか嬉しそうだった。
と、大きめな石の下でユーナの動きが止まった。
そして少し経った後、ひょこひょことこちらに近付いて来た。
「どうしたの?ユーナ」
腕を伸ばすと、そこを伝って肩に登るユーナ。
すると、手に持っていた石を置いて再び腕を下って戻って行ってしまった。
「なんだろう……」
私はユーナが肩の上に置いた石を摘むと、目の前に持ってくる。
「あ、綺麗な石……」
深緑色の縞模様の入った石だった。
私はその石を持ってきたハンカチで優しく包むと、心の中でユーナにお礼を言った。
ゆらゆら風に揺れる草を見ていると、何故だか眠くなってきてしまう。
とても心地よくなってくる。
私は後ろに倒れると、シートの上で仰向けになった。
雲のない空が一面に広がった。
どこまでも続く青。
じっと見つめていると吸い込まれそうな気がした。
「ちょっと……眠くなって……きた、な……」
私は静かに目を閉じた。




