第6話 違和感
「え……?一緒に暮らす……?」
驚きの表情を見せるレノ。
「うん。行く当てがないなら一緒に暮らさない?こんなに狭い家だけど……どう?」
「一緒に……暮らす……?いいんですか?素性もしれない人と暮らしても。実は記憶を失っているのが演技で、夜勝手にお金を持って行ってしまうかもしれませんよ?」
「……」
「……」
黙りこくる私とトゥーナにレノは、
「た、例えばの話ですよ!?」
なんか凄いこと言うな、この子は。
「大丈夫だよ。短い時間だったけど、レノと一緒にいても悪い気はしなかったし、そんなことを考えている風にも見えなかった」
「そうだよ!レノがそんな事するわけないよ!」
「……」
私とトゥーナの言葉を聞いてか、レノは黙ってしまった。
それから少し経ち、レノが口を開いた。
「本当に……いいんですか?」
「レノさえ良ければね」
私はそう返した。
それからレノは短く逡巡して、
「ふ、不束者ですが、よろしくお願いします……」
そう言って、ぺこりと頭を下げた。
食器を片付けていると、
「私も手伝います……!」
レノがそう言って私の横に並んできた。
「あ、大丈夫だよ。私がやるから」
「手伝います。私は居候させてもらってる身ですから」
居候?
「ちょっと待ってレノ。今居候って言った?」
食器を吹いていた手を止め、レノの両肩に手を置いた。
「は、はい……私は居候では……?」
「違うよ」
「え?」
「居候じゃない」
「え、でも……」
「レノは居候なんかじゃない。ちゃんとした家族。私とトゥーナの大切な家族だから」
私は語尾を強めてそう言った。
「家族……?」
「そう。家族。この家に住んでる人はみんな私の家族」
「そうですか……」
レノは下を向いた。
「だからさ、レノ。居候なんて言わないでね。いい?」
レノの肩をポンポンと優しく叩く。
「レノ、だから顔を上げて?」
未だ下を向いてるレノにそう促す。
「レノ?聞こえてる?レノ?」
反応がない。
そういえばさっきも返事がなかったな。
「レノ?レノー?」
ゆさゆさとレノを揺らす。
すると、レノは急に顔を上げて、
「ごめんなさい。ユイさんの思いも知らずに変なことを言ってしまって……私も家族の一員なんですね……!」
「あ……うん、そうだよ……わかってくれればいいけど……」
何も聞いていなかったかの様に振る舞うレノに、私は少し違和感を抱いた。




