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第3話 六花

 何度か迷いはしたもののなんとか我が家に帰ってくることができた。

「ただいまー……」

 家に入るなりトゥーナがベッドにヨロヨロと倒れ込む。

「あ!トゥーナ!ちょっと待って!服脱いでから!」

 泥で汚れた服のままベッドをゴロゴロするトゥーナの止めに入るため、背中の少女を自分のベッドに寝かせる。

 そして、

「ストップ!」

 ゴロゴロするトゥーナをよいしょ、と持ち上げた。

 そして、椅子に座らせると、

「ほら、先に服脱いでからね、ベッドは」

 そう言ってトゥーナが着ていた服を脱がせた。

「ごめんなさーい」

 トゥーナが服を脱ぎながら謝ってくる。

「気をつけてね、と。はい、いいよ」

 泥で汚れた寝巻きを脱がせると、トゥーナは肌着を下着だけを身につけて、ベッドへ再び飛び込んで行った。

「私も着替えないとな……」

 替えの服を持って、これまた泥で汚れたネグリジェを脱ぐ。

「泥汚れは洗うのが大変だからな……こんなことなら着替えて行けばよかった」

 今更後悔。

「はぁ……」

 短くため息を吐き、私は新たな服を着た。

 二人分の泥にまみれた服はカゴの中に入れておく。

 泥汚れは乾いてからの方が洗いやすいからね。

 泥が乾くまでの間に、私は例の少女の介抱をすることにした。


 少女の元に寄り、まずは全身を見渡す。

 やはりトゥーナと同じくらいの歳だろうか。

 身長もあまりトゥーナと変わらないと思う。

「でもなんでこんな子が森に一人でいたんだろうな……」

 私はブツブツと独り言をこぼす。

「よし、じゃあまずは……」

 少女に着ている、白いのローブを脱がす。

 袖に手を通し、そっと優しく。

 両袖から腕を抜き取ると、少し持ち上げてローブを引き抜く。

「お……」

 ローブを脱がせたことで顔がよく見える様になった。

「白い……」

 少女を見た感想。


 白い。


 その一言に尽きる。

 なぜかって?

「すごい……白い……」

 トゥーナも驚くほど。

 髪が白かった。

 そして、肌も白い。

 雪の様に純白の髪。

 どこそかの化粧品会社の女優さんの様に白い肌。

「六花族……?」

 ふと隣のベッドからトゥーナの声が聞こえた。

「りっかぞく……?」

 聞きなれない単語だ。

「北部の豪雪地帯に住んでる種族で、生まれつき髪とか肌とか瞳とかが白いらしいよ。狩りをするときに目立たない様にするらしいよー」

「へー……りっかぞく……」

 そんな種族もいるんだな……

 初めて見た。

 私はもう一度少女の全身を見渡して見た。

「と、それで……一応ここに寝かせておこうと思う。でもいつ起きるかわからないからな……今日は作業中止。家にいよう」

 私はトゥーナにそう提案した。


 それから1時間くらい経った頃だろうか。

 泥にまみれた寝巻きも洗い終わり、お茶を飲んでいた時。

 背後からトン、と音がした。

「ん?」

 私は音のした方に振り返る。

 トゥーナもそちらを見ていた。

「あ……」


 目が合った。


 白い目。


 白い瞳の少女と目が合った。


「ええと……ひとまず、おはよう」

 私はそう声をかけた。

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