第2話 倒れていた少女
ユーナを追って森を進む。
途中、チラチラとユーナが私たちのことを確認していたが、走る速度を落とす気配は全くない。
「ユーナ、どこに行くんだろう」
私に背中でトゥーナがそう聞いてくる。
「どこだろう……私にもわからないな……」
ユーナはどんどん森の奥へ進んでいった。
「おっと、危ない」
昨日の雨で地面がまだぬかるんでいて、危うく転ぶところだった。
木々の葉で太陽のあまり届いていないので、地面が乾かなかったのだろう。
走るたびの泥が跳ねる。
「家帰ったらまずはこれを洗いたいな……」
寝巻きのまま飛び出してきたので、淡いピンクのネグリジェの裾は泥にまみれている。
「はぁ……」
私はネグリジェを一瞥すると短く嘆息した。
どのくらい走った頃だろうか。
不思議なところにたどり着いた。
森の一部を小さく円形にくり抜いたかような、空間にポッカリと穴の空いた場所である。
「なんだここ……」
私は背中のトゥーナを下ろしながらそう呟いた。
「すごいね……」
トゥーナも珍しそうにぐるりと見回している。
「それで……ユーナは……」
私もユーナを見つけるために辺りを見回した。
円形の空間には中心に大きな切り株が一つ。
「ん……?」
そこで私はあることに気づいた。
「誰か……寝てる……」
白い服を着た背の低い人影が切り株の上に倒れていた。
私は恐る恐る切り株に近づいてみる。
「この子、だーれ?」
私の背後から顔をひょこりと出したトゥーナが問うてくる。
「誰だろう……」
フードを被っていて顔はよく見えないが、どうやら少女のようである。
歳はトゥーナと同じくらいか……はたまた年上か。
一目見ただけではわからない。
取り敢えず、私はこの子を起こすことにした。
最大限警戒はしつつ、優しく声をかける。
「あなた、大丈夫……?」
ユサユサと肩を揺らしてみる。
が、しかし返事はない。
「……生きてる……よね……」
私は横たわる少女の右腕をそっと持ち上げると、脈を調べた。
「……」
「どう……?」
心配そうな顔をするトゥーナ。
「うん……生きてる」
脈は確認できた。
「……寝てるか……気を失ってる……?」
残る可能性としてはその二つくらいだろうか?
ちなみにユーナは、この少女の顔の横にちょこんと座っていた。
「どうしようか……この子」
私はトゥーナにそう問う。
「うーん……連れて帰る?」
そう提案してきた。
「連れて帰るか……大丈夫かな?勝手に家に連れてっちゃって……」
しかしなあ……
このままここに寝かせておくわけにもいかないしなあ……
だからといってこの子が起きるまでここで待っていたら、一体いつ起きるかわからない。
私は考えた末に、
「いいや、連れてこう。起きたら理由を説明してあげる」
家に連れて帰ることにした。
「トゥーナ、自分で歩いていける?」
「うん、大丈夫かな」
「よし、それなら私がこの子を背負って行こう」
トゥーナに手伝ってもらって、少女を背負う。
「じゃあ、家に帰ろうか」
私はそう言ってもと着た道を戻り始めた。




