第1話 光の少女
夢を見た。
白い服を着た少女。
光に照らされて、顔はよく見えない
その少女がこちらに手を伸ばしてきた。
ー助けてー
口がそう動いた。
しかし直後、少女は光に包まれて消えて行った。
瞼に明るさを感じ、目を覚ました。
「んぅ……」
小さく呻き、横を見る。
お腹の上にユーナを乗せたはトゥーナは、私の左腕に抱きついて寝ていた。
右手でトゥーナの頭を撫でる。
「トゥーナ……」
気持ちよさそうに目を閉じる我が子を横目に、私は辺りを見回した。
「白い……女の子は……」
夢に出て来た少女。
白い服を着ていた彼女はどこにもいない。
「……変な夢……」
初めて見た夢だった。
「んん……おはよ……お母さん……」
それからベッドの上で考え事をしていたら、トゥーナが目を覚ました。
「おはよう、トゥーナ」
私の腕を離し、むくりと体を起こす。
それと同時にユーナも目を覚ました。
トゥーナは眠たそうな目を両手で擦っている。
「雨……止んだ……?」
首をかしげるトゥーナ。
「止んだと思うよ……見に行く?」
私はそう言ってベッドから降りると、トゥーナとユーナを抱きかかえて、玄関へ向かった。
「あ……」
「ん……」
空一面に広がる青。
雲ひとつない空がそこにはあった。
「止んでる……」
「よかったね」
空を見上げて私とトゥーナがそう言った時、ピョコリとユーナが私の手から飛び降りると、そのまま森の方へ走って行ってしまった。
「あ……!ユーナ……!」
「ユーナ!待って!」
ユーナは私たちの声に振り返ることなく、暗い森に吸い込まれるように入って行った。
「お母さん……!ユーナ……!」
「うん、わかった。追いかけよう」
私はトゥーナに靴を履かせ、寝巻きのまま家を飛び出した。




