第17話 ひさびさに...
「我ながらすごい量だな」
あれから1時間後。
数種類のキノコ料理を作り終え、食卓に並べた。
炒め物やら、おひたしやら、バターソテーなど。
おまけに主食のパンにもキノコが挟んである。
キノコづくしである。
「わーい!キノコたくさーん!」
トゥーナは喜んでくれてるな。
よかったよかった。
「たくさん食べてね」
私がそう言うと、
「はーい!食べていい!?」
フォークを握りしめて私に問うてくる。
どうやら目の前のキノコ料理に待ちきれない様子。
「どうぞ、召し上がれ」
快く返事を返すとトゥーナは、
「いただきまーす!」
そう言って、目の前のキノコ料理に飛びついた。
「ゆっくり食べなさいよ、料理は逃げないから」
そう促す。
「はーい」
トゥーナは顔を上げて返事をすると、ふたたび食事に戻った。
私もお腹がすいているので食べることにする。
トゥーナを探しに行ったりで夕飯の時間がかなり延びてしまったし。
「いただきます」
両手を合わせてフォークを持つ。
「どれから食べようかな……」
沢山キノコ料理があって、迷ってしまう。
「これ美味しいよ!」
うーむ、と迷っていたら、トゥーナが皿をこちらに差し出して来た。
見ると、キノコの炒め物。
「じゃあ、それから食べようかな」
せっかく勧めてくれたのだ。
トゥーナのおすすめから食べよう。
フォークでプツリとキノコと山菜をまとめ、口に運ぶ。
「おお、我ながらいい出来!」
「どうだった?」
トゥーナが聞いてくる。
「うん、美味しいね!」
笑顔でそう答える。
「やっぱりねー!」
トゥーナも満足そうだ。
「さあトゥーナ、どんどん食べちゃってよー?」
「うん!たくさん食べる!」
「トゥーナ、お腹いっぱい。もう食べられない、お風呂入れない」
机のふちにアゴを乗せながらトゥーナはそう呟いた。
「無理して食べるからじゃない。多少は明日に残しておけるよって言ったのに」
「はーい……」
机の上には何も載っていない皿が並んでいる。
結局、あれほどあったキノコ料理はほとんどトゥーナによって食べ尽くされてしまったのである。
あの小さい体のどこに大量の食べ物が入って行くのか、不思議でしょうがない。
「お腹が落ち着いたらお風呂に入ってね。もうお湯張ってあるから」
「はーい」
小さな声で返事が帰って来た。
「あ、私先入ろうかな……」
ふとそう呟いたら、
「じゃあトゥーナも入る!」
そう言ってトゥーナが立ち上がった。
「もうお腹大丈夫なの?」
「うん」
即答。
「……」
「……」
「じゃあ……一緒に入る?」
本当にお腹は大丈夫だろうか?
「ん……」
「……」
湯船の中で伸ばされた私の足の間にトゥーナが入って来た。
「どうしたの?」
「……いいの」
私の足の間に腰掛けもたれてきた。
「お……」
リクライニングシート状態の私。
まあ、こうやって娘を二人で入るのもいいかな。
トゥーナの少し高めな体温がお湯とは別に私の肌を暖める。
その暖かさが私には心地良かった。
「今日は疲れた……」
「そうだね……」
私はトゥーナの頭を撫でた。
「早く寝なよ……」
「うん……」
トゥーナがさらにもたれてくる。
「お母さん……」
「なあに……?」
「……」
「どうしたの?」
「……」
返事がない。
どうしたものか?
私はトゥーナの顔を覗き込んで見る。
と、トゥーナはスヤスヤを寝息を立てお風呂の中で眠ってしまっていた。
相当疲れていたのだろう。
「寝ちゃったか……」
そう呟き、天井を眺める。
そういえばトゥーナを一緒にお風呂に入るのはいつぶりだろうか。
最近忙しくて、なかなか一緒に入ってあげられていなかった。
「結構久しぶりだな……前は確か……」
記憶を少し辿って見ることにした。
それから少し経ち、私はお風呂から上がった。
寝ているトゥーナを膝に乗せ体を拭いた。
なんとか服を着させて、歯を磨いて、ベッドに向かった。
「ゆっくりおやすみ……」
すっかり熟睡してしまっているトゥーナをベッドに寝かせ、布団をかける。
頭を撫でると、私は、
「お疲れ様。ゆっくり休んでね」
そう静かに言った。




