第2話 謎の少女
「んんっ……ん……」
目が覚めると私は森の中で倒れていた。
「どこだろ……」
確か私はホームから落ちて、そこに電車が来て……
「私死んだの……?」
まぁ、あの距離まで電車が迫っていたら生きて帰ることは難しいだろう。ということはここは死後の世界か?天国?流石に地獄ではないよな……
「いや……あの天使か……?」
確かにここへ来る前に何処かで天使さんと話した。その時に人生のやり直しをさせてくれるとか、どうとか。
「と言うことは、ここは次の世界、か」
私のやり直しの世界。
なかなかいい世界だ。やり直すにはちょうどいい。
それに天使さんは私にチャンスをくれた。それならばそれに応えようとも。
私はこの世界でしっかりと行きて行くぞ!
などと考えを巡らせていると横から声をかけられた。
「大丈夫?お姉さん」
お姉さん?私のことかな?
首を動かし今この場に私しかいないことを確認すると、その声がした方を向いた。
「大丈夫……?」
そこには地面に座り込みこちらをじっと見つめる少女がいた。
「お嬢さん、お名前は?」
まずは名前を聞いておく。
「トゥーナだよー、宜しくね?お姉さん」
トゥーナちゃんか。
ということはもう名前からしてここは日本じゃ無いな。
「あぁ、こちらこそよろしく。私は妃 結衣、じゃなくて……あーっと、ユイって呼んでくれる?トゥーナちゃん。」
「はーい!宜しくねー?お姉さん!」
お姉さんか……まぁいいや。
一応は初対面。相手が誰であろうとしっかり名乗っておかなければね。
それでと。
「まずここは何処?」
体を起こしながらトゥーナちゃんに問う。
「ここはねー、森の中だよー」
いや、それは分かっているのですが……
私が知りたかったのは、この場所の名前とか、この辺りの地名とかなのだけども。
こればかりは私の聞き方も悪かったか。
どこかに案内板でもないかと、もう一度辺りを見回しているとトゥーナちゃんが言った。
因みにそんなものはなかった。
「お姉さん。私と一緒に村を創りましょう?」
は……?
「は……?」
思わず心の声が漏れてしまった。
「ちょっと一回ストップ、トゥーナちゃん。私と一緒に村を創るって?」
トゥーナと言ったか、その少女の肩に手を置き話しかけた。
「そうだよー。お姉さんは村を創りたいんでしょー?それなら私が手伝ってあげる」
なんで知ってるの?私の独り言聞いてたの?それに手伝ってあげるって。
「トゥーナちゃん、もう一回ストップ」
「うん。トゥーナもう一回ストップするー」
よしよし。まずは話を止めて。私も落ち着いて、深呼吸。
「トゥーナちゃん、私が村を創るってどういうこと?」
ちょっととぼけてみて……
「お姉さん、家作って、野菜も育てて、村創ってゆっくり暮らしたいんでしょ?」
おっしゃる通りですね、何故知っているのか。
ちょっとした疑問が発生。
「ちょっとこっちに来てー、お姉さん!」
いつの間にか移動いるトゥーナちゃん。
私をある一本の獣道へ誘っている
「早く早くー!」
そう急かさないでよ。さっきまで倒れてたんだから。それにこの世界のこともよく知らないし。
「はーい、ちょっと待ってよー」
ヨイショと立ち上がり、トゥーナちゃんの方へ向かう。
「ついて来てねー」
私が近づくと、くるりと体の向きを変え獣道の方へ歩き出した。
どこに行くんだろう?全く行き先も告げられず私はトゥーナちゃんの後を追った。