第16話 一人暮らしのレシピ
「え……これ飲むの……?」
目の前に出された茶色い粉末。
トゥーナ曰くこの粉が解毒剤らしい。
「そう、これ飲んで!」
笑顔で解毒剤を差し出して来るトゥーナ。
「……これ……?」
「うん、これ」
「本当にこれ……?」
「うん、だから早く飲んで!」
ほぼ強制的に解毒剤が乗った皿を握らされる私。
「はい、お水」
水の入ったコップも一緒に渡された。
「……ふぅ……」
解毒剤とコップで両手を塞がれる。
もう逃げ場はないな……
「よし」
意を決して飲むことにした。
やっぱり苦そう。
茶色い粉末を身内の中に放り込み水で流し込む。
「……うげ……」
やっぱり苦い。
「どう?」
「苦い」
トゥーナの問いに私は即答。
「もうこの薬飲みたくない」
そう言い放った。
「……で、どうしようかな……ご飯食べる?キノコ」
トゥーナを探しに行っていてまだ夕飯を作っていなかった。
「うん!食べる。トゥーナお腹空いてる」
そうか。
我が子がお腹を空かせている。
それならば早速夕飯を作らないと。
私は椅子に掛けてあるエプロンを手に取るとキッチンへ向かった。
途中、
「トゥーナも手伝う!」
とユーナを頭に乗せてこちらに掛け寄ってきた。
お手伝いしてくれるのか。
有難いなあ。
「手伝ってくれるの?じゃあ……キノコを洗っておいてくれる?」
包丁とかの刃物は流石にまだ危ないと思うので、トゥーナには下準備をやってもらおう。
「トゥーナ、キノコ洗う!」
そう言ってカゴからキノコを数本取り出した。
私は川から汲んでくた水の入る桶をトゥーナの前に置く。
「ここで洗ってくれればいいよ」
「了解です!」
トゥーナは早速桶の水でキノコを洗い始めた。
「私はと……」
さて、キノコをどう調理しましょうかね。
沢山あるし、今日の夕飯はキノコがメインなので、なるべく飽きないような料理を作りたい。
「うーんと……」
こういう時に一人暮らしの知識が役に立つ。
私が都内で一人暮らしをしていた時は、ほとんど自分でご飯を作っていた。
どうしても時間がないときだけ、スーパーとか、コンビニの惣菜にしてたけどね。
というわけで、脳内の料理知識をフル活用してキノコ料理を作るとしよう。
「まずは……」
まずはトゥーナが洗ってくれたキノコを包丁で薄くスライス。
同時に森で採ってきた山菜も切る。
「よし……次は」
村で買ったフライパンにこれまた村で買った油を少し注ぐ。
「ひぇー……」
油がパチパチと跳ねた。
フライパンが暖かくなってきたので先程スライスしたキノコを投入。
塩コショウも適量加え、炒めていく。
キノコの水分を飛ばすように炒めて、ある程度火が通ったら次は山菜を入れる。
「ああ、いい匂い……」
キノコの香ばしい香りがキッチン全体に広がる。
「美味しそうだねー」
キノコを洗いながらトゥーナがそう言った。
さて、二品目はどうしようか。
「このキノコは少し小さめか……」
それならば……
私の頭の中はキノコ料理のレシピで埋め尽くされていた。




