第11話 キノコ
「お母さん!このキノコ食べられる!」
ここは家の近くの森。
ここへはお昼ご飯の材料を調達しに来ていた。
「この実も食べられるかな」
私も手に持ったカゴに食べられるものを入れていく。
中には、キノコやら木の実やらその他諸々食べられるものが。
「お母さん!こっちのキノコも食べられる!」
トゥーナがまたキノコを持ってきた。
よく日本で見た椎茸のようなもの。
「これは食べられるんだ」
キノコに関しては無知な私。
ここは植物にかなり詳しい娘に任せることにした。
子供に野生のキノコ狩りを任せるなんて……
と思うかもしれない。
しかし、この子の頭の中はちょっとした植物図鑑なのである。
ちょっとことではそうそう間違えない。
キノコに関しても。
ということで、トゥーナはどんどんキノコをカゴに投入して行く。
因みにユーナはカゴの中でキノコの整頓をしていた。
小さい手でキノコを掴み隙間に入れて行く。
器用なリスだな……
そう思えた。
「凄い数だね……」
キノコは既にカゴから溢れそうなくらい入っている。
「この調子だと今夜もキノコだなぁ……」
私はキノコ満載のカゴを見てそう呟いた。
「たいりょー!」
家に戻ってきて、早速今日の収穫を見る。
「おお……キノコ……」
机に広がる収穫品の約三分の二をキノコが占めていた。
「キノコパーティーかな……?」
「キノコたくさーん!」
どうやらトゥーナはキノコが好きらしい。
先程から採ってきたキノコを眺めている。
「これじゃ夜もキノコだね、トゥーナ」
私は机の上のキノコを見ながらトゥーナにそう言う。
トゥーナは、
「いいよ!キノコ大好き!」
両手にキノコを持ってそう言った。
「キノコ料理なんてあんまり知らないよ……」
ボソッとそう漏らす。
「お母さん、試しにちょっとだけ食べようよ!」
トゥーナがそう提案してきた。
「今?」
「うん!」
まだお昼ではないけどな……
まあ、お腹も空いたしちょっとだけ食べるか。
私は机に広がるキノコを二本手に取り、
「じゃあ一人一本ね」
そうトゥーナに行って料理の準備を始めた。
とは言っても、そこまで大きなことはやらない。
網の上に洗ったキノコを乗せて炙るくらいかな?
これが一番だろう。
採れたてのキノコを食べる方法としては。
「どうぞ。熱いからね、気をつけて食べて」
トゥーナに焼けたキノコを渡す。
「ありがとう、お母さん。いただきます!」
トゥーナはフーッと息を吹きかけて冷まし、カプッと焼きたてキノコにかぶりついた。
さて、私も。
網の上に載るもう一つのキノコを手に取る。
「……なんか凄い色だな……」
黒く付いた焦げ目の下に覗く黄色。
「黄色のキノコは……」
日本にいるとき、東北のどこかの県が黄色いキノコの天ぷらを食べているのを旅番組で見た記憶がある。
「まあいいか。いただきます」
私もフーッと冷ましてからキノコにかぶりついた。
「おふッ!」
美味しい!
ジワっと染みるキノコの濃厚なエキス。
キノコはやっぱり素焼きに限るな。
そう思えた。
「美味しいねー」
トゥーナも満足げ。
よかった。
「ほんと、美味しい。でも食べ過ぎないようにこれだけね?お昼が食べられなくなっちゃう」
私はそう言うと、トゥーナは少し残念そうな顔をしたが、
「お昼ご飯もこれ!?」
グッと身を乗り出す。
「そうだよ……ってそのつもりで採りに行ったんだし……ああ、味付けとか料理方法は変えるよ……ん?トゥーナ?」
急に下を向いたトゥーナ。
あれ?お昼ご飯もキノコメインは嫌だったか?
そう思ったその時、
「キノコだー!!」
トゥーナの喜ぶ声が家中に響いた。




