第8話 リス
「ね、お母さん」
並べられた木を詮索し、柱に使えそうな頑丈で中身の詰まったものを探していた時。
突然トゥーナが脇腹を突いて来た。
「ううん?どした?」
突かれた方に顔を向けると、トゥーナはある方向を指差していた。
「あそこ……」
「ん?あそこ……?」
トゥーナが指差す方に顔を向けると、
「あ……り、リス?」
リスらしき小動物がそこにはいた。
手のひらに乗りそうなサイズで、尻尾はふさふさしている。
どこからどう見てもリスだが……
「リス」
らしい。
どうやらこちらの世界にもリスは存在するそうです。
「で、リスがどうしたの?」
そうトゥーナに問うてみた。
「一緒に住んでいい?」
は……?
「は……?」
唖然。
「一緒に住んでいいかと?」
「うん」
真顔で頷く我が子。
「……」
一緒に住むとは……すなわちペットのようなものか?
「ええと……ペットでってこと?」
そう聞くと、
「違う!ペットじゃなくて家族!」
怒られた。
どうやらトゥーナはペットとしてではなく、家族として我が家に迎え入れたいそうだ。
なんと優しい子だろう。
お母さん、感動して来た。
「リスを……?」
「うん、リスを」
「家族に……?」
「うん、家族に」
「……」
リスってどう世話するの?
私、リスを飼ったことは一度もないからね?
「……世話できるの……?」
ちょっと声を低くして見いてみる。
「トゥーナ、大丈夫」
自信ありげに頷く。
「……」
「……」
黙って考える私を、トゥーナはキラキラした目で見てくる。
「……家族の一員としてしっかり世話をするように」
結局私が折れた。
この子のキラキラした目を見ると、なんかなんでも許してあげたくなる。
親バカでしょうか?
「いいの!?」
目を更にキラキラさせるトゥーナ。
「やった!」
トゥーナは拳を握ると小さくガッツポーズをして、そのリスの方に走っていった。
「何やってんだかね……私は……」
走って行くトゥーナの後ろ姿を眺めながら私はボソリとそう呟いた。
「お母さん!この子が今日から我が家の一員になるリスだよ」
リスを頭に上に乗せてこちらに走って来た。
「よろしくねー、リスさん」
私はトゥーナの頭の上に乗るリスをそっと撫でた。
「あ……」
私が手を伸ばしても、このリスは逃げようとしなかった。
「もうこの子は、お母さんが家族だってわかってるもん!」
リスの学習能力の高さを実感した。
すると、リスは私に手を伝って今度は私の方の上に乗っかった。
「おお」
驚いてしまった。
「すごいでしょー」
なぜかトゥーナが嬉しそうだ。
私は肩にリスを載せつつトゥーナに質問をした。
「この子の名前は?」
名前。
家族だったら名前くらい知っておかなければ。
「この子はね、ユーナって名前だよ」
ユーナか。
ユイとトゥーナから少しずつ名前を取ったのかな?
「いい名前だよ、ね?ユーナ」
肩の上のリスに向けてそう呼んでみる。
すると、スリスリとふさふさの尻尾を頬に擦らせてきた。
「この子、呼ばれてることわかるんだなぁ」
改めてリスの学習能力に高さに驚いた。
「よろしくね、ユーナ。私はユイだよ」
自己紹介。
すると、ユーナは小さく「チチ」と鳴いた。




