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第13話 宿屋紹介

「それでさ、トゥーナ。一体どんな申請をしたの?」

 役場から出てまず私はそうトゥーナに問いかけた。

 先程役場で村を創るための土地の取得に行ったのだが、私はトゥーナと受付のお姉さんの間の専門的すぎる会話についていけなくなり、途中で離脱したのである。

 よって、二人の間で一体どの様な会話があったのかはわからない。

「えっとね、まずはこの紙を見て」

 そう言ってトゥーナは手に持っていた紙のうち三つ折りにされているものを差し出した。

「えー……『土地取得に関する資料① 土地の譲渡について』……ん?譲渡?」


 譲渡とは……


「え?土地借りたとかじゃなくてもらったの!?」

 驚いた。まさか土地を?

「そうだよー。土地は貰ったー」

「いや、貰ったーじゃなくて。なんで貰った?」

 理由がわからん。

「じゃあ次はこっちの紙ー」

 そう行って手渡して来たのは数枚がまとめて括られた紙の束だった。

「えっと……ふんふん……って、ええ!?」

 そこには理由が書かれてたのだが、その理由にも驚いた。

「ね?」

 トゥーナが可愛らしくウインクをした。

 何が「ね?」だ。騙されてんぞ。

「これって貰ったというより、押し付けられた、の方が正しくない?」

 トゥーナに聞いてみる。

 が、

「うーん、どうだろう。なんか貰えた土地が大きいなって思ったら……そういうことだったのかな?」

「その可能性も...」

 あららぁ。


「ね、トゥーナ。このあとどうする?」

 今日しようと思っていたことはもう全て終わってしまった。

 夕日も傾き始めている。

「どうしようねー」

 今日は帰るところがない。

 当然明日もないが……

「ひとまず、宿にでも入って明日帰ろうか」

「そうだね!じゃあ早く宿いこ!」

 よし、それなら近場の宿探すか。

 と言っても、宿がどこかわからない。

「聞いてみるか……」

 近くの人に聞いてみることにした。

「あの、すみません」

 前からきた男性に声をかけてみた。

 逆光で顔はよく見えなかったが、なんとなく既視感のある感じの人だった。

「ん?どうしたー?姉ちゃん?」

 あれ……?

 もしかして……?

「屋台のおじさーん!」

 やっぱりか!

 トゥーナよく気づいたな。

「おう、さっきぶりだな」

 よ、と右手をあげるおじさん。

 ああやめて、太陽が頭に隠れて後光になってる……

 失礼ながら私は笑いそうになってしまった。

「さっきはありがとうございました」

 私がぺこりとお辞儀したら、おじさんは

「いいっていいって気にするな」

 ひらひらと手を振った。

「それで?どうしたんだ?」

「え?あっと、今日泊まる宿探してて、あまりこの辺知らないので誰かに聞こうかと思ったら……」

「ハハッ、その聞いた相手が俺だったってわけか」

 そうだなぁ……と、おじさんは顎に手を当てて考え始めた。

「女性二人か……なるべく綺麗なところ……そうだなぁ……」

 ブツブツ独り言ごとのように呟くおじさん。

「じゃあなぁ、この道を真っ直ぐ進んで、三つ目の角を右。そこからちょっと行くとベッドの形をした看板がかかってる店があるからそこに入れ。小さい宿だから、空き部屋があるかはわからんが、この村の中で一番安心できる宿だぞ」

 一番安心できる宿て……

 なるほど……あ、でもお金……

 足りるかな?

 するとおじさんが

「宿代あるか?一応これ持っていけ」

 ズシリと重そうな麻袋を渡してきた。

「え?いやいや!そんないただけませんよ!」

 絶対中お金でしょ?だって今チャリンて鳴ったし。

「持ってけ持ってけ。宿代はこれで払っていいから。残ったお金で美味しい夕飯でも食べな。じゃあまたな」

 おじさんはそういうとトゥーナに袋を渡して去っていった。

「おじさん……」

「お、おじさん……袋……」

 堂々と去って行くおじさんはとてもカッコよく見えた。


 みたいなことが全くなかった、といったら嘘になる。


 実際には、宿屋の名前、道順の書いてある紙と、「夕飯しっかり食べろよ」と言って金貨を4枚くれた。

 お金をくれたことは事実だけど……

 さ、気を取り直して、と。

「じゃあトゥーナ。おじさんの言ってた宿、行ってみよう」

「うん!」

 私とトゥーナはおじさんオススメの宿屋へと向かった。

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