第23話 責任
「大っ嫌い……か……」
ゆらゆらと揺れるランプが眩しい。
脳内で何度も再生されるレノの言葉。
心を抉ったあの言葉は、脳内で再生されるたびにさらに深く傷付ける。
何もかもが失敗した。
全てが最悪の方向へと傾いた。
元はと言えば、自己満足の家族ごっこを始めたことがいけなかったのである。
「家族愛……」
家族愛など存在していなかった。
自己満足の成果である。
「やめよう。もういいや」
壁にもたれる。
「考え直そう。サヤには申し訳ないけど……家族ごっこなんてもう終わり」
責任も持てない大人に、家族を引っ張ることなどできるわけがないのだ。
レノに言われたあの言葉。
――自分で言ったんだから責任持ってよ!人に言っておいて自分は実行できないならもう何も言わないで!もう黙っててよ!話しかけないで!――
人に言うだけ言って自分ではできていなかったんだ。
あれほど堂々と口を開いたのにも関わらず結果がこれだ。
もう自分がわからない。
他人に語る資格なんてなかったんだ。
「最悪だ……」
自分の弱さが浮き彫りになる。
いい機会だった。
これを機に心を入れ替えよう。
「いこ」
その場で立ち上がると振り向いた。
「本当にごめんなさい。自分が出来もしないことを他人にばっかり押し付けてまって。それに叩いてしまってごめんなさい。あと自分勝手でごめんなさい。これからはサヤとトゥーナの三人で楽しく暮らしてください」
布団の山に向かってそう言い残す。
彼女は聞いていないだろう。
それでもいい。
伝えたいことは伝えた。
「元気でね……」
最後に考えて出た言葉がそれだった。
―自分で言ったんだから責任持ってよ!人に言っておいて自分は実行できないならもう何も言わないで!もう黙っててよ!話しかけないで!――
自分の発言に責任すら持てなかった。
悔しくてポロリとまた涙が垂れてきた。
「本当にごめんなさい」
グッと涙を拭うとドアノブに手をかけた。
ノブを回して扉を押し出す。
外には心配そうにこちらの顔を見つめるトゥーナとサヤがいた。
居た堪れない気持ちになって思わず目をそらす。
そのまま無言で二人の前を立ち去った。
「お母さん……?」
「ユイさん……?」
背後で呼ぶ声が聞こえたが、私は振り向くことなく自室目指す。
ドアの前で一度立ち止まり二人の方を向いた。
「二人ともごめんね。ちょっと一人にさせて……」
部屋に入るとき、全てを察した二人に悲しい顔が目についた。




