第21話 仲間はずれ
カーテンに閉ざされた、暗い部屋にポツンと灯るランプ。
「大丈夫?」
ゆっくり優しくレノの背中を撫でる。
レノは背中を上下身小刻みに動かすだけで返事はしない。
何があったのかわからない。
でもそれを聴く気にもなれなかった。
しばらくこのままそばにいてあげよう。
「姉さん……」
少し経った頃。
外の雪を眺めていたら、レノが涙に濡れた顔を上げてそう呼んできた。
「どうしたの、レノ」
優しく問ひ返す。
「姉さんは……私のこと、どう思ってる?」
「ん?」
突然の質問に少し戸惑う。
「どう思ってるかって?レノのことを?」
「うん……」
コクリと小さく頷く。
「トゥーナはレノのこと、大切な家族だと思ってるよ。大好きな家族。大好きな妹。愛してるよ。それ以外になんかある?」
その言葉を聞いてレノは口を噤んだ。
そして次の質問を切り出す。
「私のこと……邪魔だと思う?」
「え?どう言うこと?」
「あ……ごめん、姉さん。やっぱり忘れて」
トゥーナの反応に驚いたのかレノが慌てて訂正する。
「邪魔?レノが?え?」
レノが何を問いたいのか、いまいちわからない。
邪魔だなんて一度も考えてことはない。
「ごめん、レノ。邪魔って、考えたこともないよ」
トゥーナにはそう答えることしかできなかった。
「じゃあさ、逆にレノは自分のことが邪魔だと思ってるの?」
「え……?あ、それは……」
口ごもるレノ。
「ね?姉さんも言えないでしょ?じゃあ大丈夫だよ」
邪魔だなんてよくわからないし、考えたくもない。
それからまた少し経って、ふと浮かんだことをそのまま口にした。
「さっきお母さんと何言い合ってたの、なんとなくわかる気がする」
「わかる……?」
「うん、わかるよ。多分、自分のことが嫌になちゃったんじゃない?」
それで自分ばっかり否定して、それで意見が衝突して。
「お母さんと喧嘩したんでしょ?そのことで。自分が邪魔者で、要らない人間だって」
なんとなくわかる。
「なんとなくわかるよ。トゥーナだって考えたことあるもん」
「姉さんも……?」
「うん。えっと……確かお母さんと会ってすぐぐらいの時かな。やっぱりお母さんと一緒にいていいのかなって思い始めちゃって」
唐突に始まった昔話。
全くレノと同じ思いで、自分は邪魔じゃないか、本当はいらない子なんじゃないか。
なんでも疑って、その度になだめられて。
「お母さんは絶対にレノのことを邪魔だなんて思ってない。もし例え思っていたとしたら、あんなに優しくしてくれないよ?」
いつも感じる母親の温もり。
惜しみなく注がれている家族の、母親としての愛情を痛いほど感じることができる。
愛されているなと、大切にされているなと、感じることができる。
「絶対に思ってない。トゥーナが保証するよ。だから大丈夫、安心して!」
家族は家族。
邪魔な家族なんていない。
「私もお母さんもサヤお姉さんもユーナも、みんなレノのことが大好きだよ!」
「本当に……本当に仲間はずれになったりしない?」
「仲間はずれ?仲間はずれなんて飛んでいけ!家族はみんながいてこそ!誰も欠けないよ!」




