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第13話 雪上の道

「そろそろ疲れてきました……」

 サヤはそう言うとスコップを雪に突き刺し、その場にしゃがみ込んだ。

「そうだね。私も疲れたし一回休憩しようか」

 同じようにスコップを突き刺すとサヤを向き合って腰を下ろした。

「もっと楽な方法ないですかね?」

 ポツリとサヤがそんなことを呟く。

「楽な方法ね……」

 雪かき機や除雪車と言った最先端技術のないこの世界では、ほとんどを人力でこなしており、これ以上に楽なものはないはずである。

 馬車も存在するのだが、通る道はない以上馬で雪かきはできないだろう。

 国の中心部には蒸気で動く機械があると聞いたのだが、ここらは国境の近い辺境の地だ。

 そのようなものがあるわけがない。

 となるとやはり残るは人力なのだが、人の手に掛かる以上、楽で負担の少ない方法選びたい。

「うーん……楽な方法か」

 人の手でできることは高が知れている。

 スコップと言う道具に頼って目の前の雪をかき分けて行くしか何のだ。

「あ……そうだ」

 いい案が浮かんできた気がした。

「わかった。いい方法が思いついたかも」

 私はそう言って立ち上がると家の方に向かって歩いて行った。

「あ、ついて行きます」

 軒下の限りなく雪の少ないところを通り抜け、家の裏に出た。

「何をするんですか?」

 首をかしげるサヤ。

「ね。これを使うの」

 私がそう言って取り出したのは、

「板……ですか?」

 家を作るときに余った木の板だった。

「そう。わざわざ雪を掻く必要はなかったんだよ」

「え?それじゃあ通れなくないですか?」

 サヤはまだわからないと言った様子で首を傾げる。

「百聞は一見にしかず。一回やってみせるから来て」

 板を数枚持って先ほどのところまで戻った。

「さて、やることは簡単」

 仮にこの方法が成功したとすれば、今後の雪かきがとても楽になるだろう。

 もしかしたら雪かきをすること自体、必要なくなるかもしれない。

「まずはね、この板を……こう!」

 勢いを付けると、私は思い切って板を持ち上げた。

 雪がバサリと舞い上がり板が壁の上に乗っかる。

「おお……すごい」

 サヤがパチパチと手を叩いた。

「さて、この上に登ろう」

 足元の雪を押し固め即席の階段状の足場を作ると、ゆっくりと設置した板の上に乗っかった。

 自分の重みで沈む板。

 少しだけ嫌な気分になった。

「大丈夫ですか?」

 下からサヤが恐る恐る問うてくる。

「大丈夫だと、思いたい……」

 沈み続ける板。

「一体どこまで沈むんだ……」

 板はゆっくりと雪を押し固めていく。

 しばらくして、およそ十センチほど沈んだところで止まった。

「お、成功したかもしれない」

 試しに板の上で飛び跳ねてみる。

 着地の時にさらに少しだけ沈んだようだが、この上を歩くくらいなら特に問題なさそうだ。

「イケるね、これ。サヤも乗ってみる?」

「え、乗れますか?もっと沈んだりしません?」

 私重いですよ、とサヤが言う。

「流石に大丈夫だと思うよ。私がジャンプしたの見たでしょ?」

「そうですね。じゃあ……」

 サヤが登って来た。

 手を差し伸べて板に誘導する。

「いいよ。乗ってみて」

 両腕を広げるとそこにサヤが飛び込んできた。

 わずかに沈む板。

「どう?これは成功でしょ」

 雪の上に道ができた。

 掘る以外の方法を模索していたところにふと思い浮かんだこの案。

 両案だったようだ。

 板もそれほど重いわけでもないので、再び雪が降ってきたら取り外せばいい。

 幸いなことに板はまだたくさん余っている。

 まだまだ道は先に延ばせそうだ。

「雪が綺麗ですね」

 唐突にサヤが言った。

 言われて辺りを見回す。

 一面に広がる純白の絨毯はどこまでも続いていた。

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