第11話 ダイブ
「トゥーナ、あんまりはしゃがないで!転びそう!」
雪で滑りそうになる私を見て、サヤは笑った。
「トゥーナちゃん、すごく元気ですね」
「まあね」
初めて見る雪で少し興奮しているのもあるだろう。
それでも、トゥーナは人一倍元気な女の子だ。
好奇心旺盛で、面倒見が良くて。
「毎日が楽しそうですね」
「楽しいんじゃない?」
いつも笑っている。
「羨ましいです。私もあれくらい元気があればな」
「それはこっちから願い下げ。ここまで元気なのが二人もこの家にいたら、私がもたない」
サヤが再び笑った。
「それに比べて……って言うのもアレですけど、レノちゃんは大人しいんですね」
サヤがレノを見上げて言う。
「人見知りで恥ずかしがりやさんだからね」
知らない人と話すのが苦手と前聞いた。
最近になってやっとレノが心を開いてきてくれた気がする。
サヤのこともそれなりに受け入れてくれてるし。
「レノちゃん、すごく肌白いですよね。羨ましい……」
サヤがポツリとそんなことを呟いた。
そう言えば、レノは豪雪地帯出身の子じゃないかと、トゥーナが言っていたのを思い出した。
雪のように白い肌、髪、瞳。
狩りをするときに目立たない様にするためと聞いたが、確かに雪の中に潜んでいたらわからないな、と改めて納得した。
「そう?私から見たらサヤも十分白いと思うけど」
「そうですか?」
「うん、そう。それ以上白くなったら逆に心配かも」
サヤが腕や脚を見て頷く。
「まあ、確かにこれでいいかもしれませんね」
肌の色ってそこまできにするものなのかなぁ、などと思いながらトゥーナの脚を眺めた。
「お母さん!雪の上に登りたい!」
唐突にトゥーナがそんなことを言い出した。
「え?雪の上に登る?」
そう聞き返した瞬間、トゥーナが肩の上から飛び出した。
「あ、ちょっ!」
離れていく脚を掴もうとしたが失敗。
トゥーナはそのまま雪にダイブ。
雪の中に沈んでいった。
「トゥーナ!」
用意してあったスコップで、トゥーナがダイブしたところを掘る。
ゴソゴソと雪をかき分けてトゥーナが現れた。
「楽しいよ!」
頭に雪を乗っけて楽しそうに言う。
「はぁ……びっくりした……」
スコップを立てかけて、トゥーナの頭に乗った雪を払った。
「レノもやってみて!」
「え、待って、うっそ……」
レノもおっかなびっくりダイブした。
サヤの肩から飛び出して、雪に沈んでいく。
「レノまで何してるの!」
急いでスコップで掘る。
トゥーナと同じようにゴソゴソと雪をかき分けて出てきた。
相変わらず雪が頭に乗っている。
もう一回、もう一回、とせがむトゥーナ。
頭に乗った雪を払うレノ。
腹を抱えて笑うサヤ。
「はぁ……」
私は大きくため息をついた。




