第20話 帰路
待っていた自分がいる。
心の奥で、密かにその人を待っていた自分がいる。
やっぱり我が儘だ。
先に何かを言われなくても期待してしまう。
袖で涙を拭うと顔を上げた。
「サヤ、泣いてるの?大丈夫?」
拭っても拭っても溢れ出す涙。
「どうしたの?……あ、馬車に乗り遅れた?」
心配そうな顔をして問うて来た。
声にならない呻きが漏れる。
「……まず泣き止んで、一回落ち着こう?」
横にしゃがんだその人に私はもたれかかった。
そして、次から次へと流れる涙を拭う。
「私……見つけられませんでした……」
自分を落ち着かせて、消え入りそうな声でそう言った。
「そっか。まあ、大変だよね。目的を見つけるのって」
頷く。
「確かにすぐに見つかるものでもないしね」
もう一度頷く。
何かを言おうとして、それを引っ込めて、もう一度口を開いた。
「もし行く宛が決まってないのなら、もう少し我が家に住む?」
この言葉を待っていた自分が恥ずかしい。
期待して、それ通りになったら喜んで付いて行く軽い自分が嫌になる。
なんて最低な人間だ、と実感した。
恥ずかしさで埋めた顔はもう二度と上げられない。
「どうせなら春期まで待って、そこから新しくスタートしてみたら?」
「 」
「サヤさえ良ければね」
「 」
「私もトゥーナもレノも大歓迎だよ」
誰にも言えない、小さな目標ができた。
未だ決まらぬ目的の前に一つ、小さな目標が。
リヤカーの前に戻るとあの二人がいた。
別れた時と何一つ変わらぬ表情で私を迎えてくれる。
「さ、帰ろうか。我が家へ」
四人で並んで帰路に着いた。




