あれはなんだった?
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私とリセットボタンは、グラサン男が光となって消えたのを確認した後に、ハロウへと駆け寄った。
「ハロウさん」
「あら、シロ……じゃなくクロエさん。それにリセットボタンさんも。奇遇ね」
「はい、奇遇ですね。でも今はそれよりも聞きたいことがあるんです」
先程までのハロウの戦闘、固有魔術については良いとして最後のアレはどうなのか。
生き返り。
それが出来てしまうのならば。ゲームバランスの崩壊というレベルではない。
「最後のアレ、ね」
「そうです。どういうことですか、あんなことが出来るなら……」
「ふふ、大丈夫。アレはそういうチート紛いのものではないもの。正真正銘、このゲームでできる範疇のことよ」
「……というと?」
ハロウは笑いながら、いつのまにか取り出していた椅子に腰掛けて話し始める。
「あれは私の派生魔術の一つ。3つまでストックできるタイプの……簡単に言っちゃえば、残機が確保できる派生魔術よ。ただ、そのまま生き返るってわけじゃないわ。一度生き返る毎に、全ステータス半減。これが最低7日間デバフとして生き返った回数分増えていくわけ。一度死ねば半減、さらに死ねばそこから半減、3回死ねばもいっこ半減……ってね」
「徐々に弱くなるコンティニュー、ってことですか?」
「そういうこと。まぁ、一回半減で生き返っても、自分を殺した相手の前で生き返るわけだから……チャンスはあれど、有利になるというわけではないわよねぇ」
と、ハロウはいう。
確かにデメリットの印象は強い。
ステータスが全て半減されるということは、HPなんかも半減されているわけなのだから死にやすいというレベルではないだろう。
しかし、3回までなら死ねるというのは、やはりかなり強いメリットではあるだろう。
命を顧みない自爆特攻が出来るわけなのだから。
それで相手を殺してしまえばいいだけだ。
「……ではもう一つ。先ほどの彼はファルシ関係の?」
「えぇ。ファルシ所属のハルって名乗っていたかしら」
「ファルシのハルと言えば……【二天一流】って呼ばれる?」
「それで合ってるはずよ、リセットボタンさん」
リセットボタンが何やらわなわなと震えている。
見れば、口元が緩みかけているのが分かる。
「どうかしました?」
「いやいやいやクロエさーん!【二天一流】って言えば!ファルシでも有名も有名なプレイヤーの1人ですよ!中でも彼はあまり表舞台には出て来ないことから、姿もあまり知られていないとかで、スクショも出回ってないんだから!!」
「あの人、思いっきり列車で襲いかかってきたんですけど……」
「っかー!!これがビギナーズラックって奴かなー!!」
「テンション高いですね、リセットボタンさん」
何やら1人で興奮し始めたリセットボタンは放っておくことにする。
あのテンションに付き合っていたらこちらの身が持たなそうだ。
「ちなみに、これで襲ってきたファルシ関係のプレイヤーは全部です?」
「私がここに居た間に来たのは彼だけだったわね。今ここで襲いかかってこないってことは、もう一旦終わりなんじゃないかしら。……ほら、街の外に張ってあった結界も解かれてるし」
ハロウに促され空を見てみるが、先ほどとあまり変わった様子はない。
というよりも、結界が張られていたというのは頭の中にあるものの、実際色が付いていなかったためによくわからなかったのだ。
首を傾げていると、その様子を見たハロウは少し笑いながらも、結界を見るためのコツを教えてくれる。
「ふふ、そういえばまだこのゲームやり出してから日が経ってないんだったわね。膜を見る感覚って言えばいいのかしら。……目に魔力を集めて、そこにあるものを観たいって思えば見ることが出来るのだけど」
魔力を目に集める。
それは出来る。魔力の操作ならば、【魔力装】を手に入れてからかなり上達した。
その後のそこにあるものを……というのはイメージの問題だろうか?
とりあえず、空を見上げていても既に結界は無いようなので騒いでるリセットボタンを観ようとしてみる。
イメージは、リセットボタンの全てを観る、そんな感じで。
すると、だ。
「お、おぉ……」
まだ集中していないとすぐに見えなくなってしまうが、観ることができた。
リセットボタンの全て……とはいうが、彼女の身体に巡る魔力の流れのようなものが見えるようになった。
なるほど、これが『観る』ということか。
これを応用して、魔力にて張られている結界を『観る』のだろう。
しかし『観る』というのは、些か呼ぶ時に分かりにくい。
「ハロウさん、これって何か名前あったりします?」
「そうね、確か【魔力視】とかそのままな名前だったかしら」
【魔力視】、良いだろう。
あとで自分の固有魔術をこれで確認してみることにする。
【霧海】や【魔力装】なんかは面白いだろう。
説明回とは言ったものの、あまり説明してない感……




