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私とリセットボタンは戦闘後、私が入ってきた方の梯子から地上へと戻った。
一応、出るときも【霧海】を使い細心の注意を払ったが、不死系モンスターがいることもなくすんなり外へ出ることができた。
「しかし、結構ボロボロになりましたね」
「そりゃ今回は物量で押されたからねぇ。いくらプレイヤーが多くても、NPCが被弾するかもしれない状況で範囲殲滅系の魔術は使わないよ」
所々壊れてしまっている建物を見ながら、私達はコロッセウムへ向かっていた。
街中では未だ不死系モンスターは残っているが、そちらに関しては狩りに出てるプレイヤーが何人かいるため、心配しなくてもすぐに狩り尽くされるだろう。
コロッセウムに向かっている理由としては、ただ一つだけ。
不死系モンスターの配給元を潰しただけで、このテロが終わるとは思えなかったからだ。
そも、このレギンという街の中であからさまに重要な施設であるコロッセウムを直接狙わないのはなんなのだろうか、と思っていたのだ。
わざわざ街の外側からじわじわと攻めてくるのには理由があるのだろうか、と。
普通に考えれば、何か大規模な固有魔術か何かの準備をするためにだとかそういうのが思いつくだろう。
しかし、これは漫画じゃない。
そんな準備なんてテロを仕掛ける前に終わらせてしまえば良いだけなのだ。
ならば、何故か。
何かしらの別戦力が重要拠点を狙っているのに目が行かないようにするための、大規模な囮。
それが一番考えられるだろう。
「さて、とりあえず着きましたし行きますか」
「ここが静かって時点でもう分かりやすいんだけどネ。魔力もかなり強いのが2つあるし」
そう、2つ。
コロッセウムに入る前から感じ取れる程に大きい魔力の持ち主達は、現在競技場の方に居るようだった。
スタッフオンリー、と書かれた扉を通り競技場へと向かう。
何があっても良いように【霧海】は発動したままに、手に持つ短剣を護身石の短剣へと変更しておいた。
「着いた!開けます!」
「鬼が出るか蛇が出るか、って所かな?」
リセットボタンが呑気に言っているのを無視して、競技場に出ることの出来る扉を開け放つ。
すると、だ。
そこは戦場だった。
片方の魔術師は数多くの刀を、時に飛び道具の様に、時に盾のように自由自在に操る。
もう片方の魔術師は炎を、闇を使い、相手の魔術師が扱う刀をいなし、時に叩き折りながら攻めている。
電車内で戦った、あのグラサン刀男とハロウだった。
「……これは」
「うん、流石にここから接近はマズイね」
魔術師と言っても、基本的に相手との距離が近めの位置に陣取って戦う私とリセットボタンに今更この戦闘に混ざれる気がしなかった。
ハロウは既にあの大きながしゃどくろを出現させており、大きな火柱をいくつも出して相手の動きを制限しようとしている。
しかし、グラサンの方はといえばその火柱ごと手に持つ刀でハロウを叩き斬ろうとしているために、動きの制限なんて意味がないようだった。
……以前は、隙を突く形で勝利した相手。なら今回も勝てる可能性はある。
そう、前回は勝利したのだ。
ならば、今回も勝ち目くらいはあるだろう。
私は自分の唯一の遠距離攻撃である【爆裂槍】を準備しようとするが、リセットボタンに止められる。
「何をするんです」
「いいから。観てよう。……勝つよあの人は」
これだから熱狂的なファンは……と言いそうになったが、リセットボタンの目を見て口を閉じた。
信じきっているのだ、あの彼女が。
「……はぁ。いいです、待ちます。でも危なそうなら文字通り横槍入れるので邪魔せずに」
「オッケー、それに邪魔はしないよ」
こうして、私がレギンに来てから2回目のコロッセウム観戦が始まった。
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……リセットボタン、さんだったかしら。有難いわね。戦わせてくれるなんて。
私は、視界の隅に映る2人の知り合いの女の子の事を思いながら、がしゃどくろを操る。
相手は電車内で戦った相手だ。
個人戦……1VS1が得意な相手かと思いきや、範囲殲滅もその固有魔術でこなせてしまう、そんな相手。
その為、普通の魔術を使っても刀に押しつぶされ、そのまま消えていってしまうだろう。
しかしだ。勝ち目はないわけじゃない。
飛んできた刀を避けながら、そう感じる。
「あまり使いたくはなかったのだけれど」
「お?決闘王者さんよ、必殺技か何かでも使うのか?なら次の一撃に賭けようじゃないか!」
「そう?いいけど、貴方が耐えられると良いわね」
「言うねぇ」
そう言いながら、私は魔力をがしゃどくろに大量に込め始める。
【湖に住む人食い婆さん】の一番最後に追加された派生魔術を使用するためのコストだ。
「【さぁ、最後の宴を始めましょう】」
そうして、私は派生魔術【バーバ・ヤーガ】を発動させた。




