確認、そして再会
もしよかったら感想やご指摘などよろしくおねがいします。
始まりの街 - AM
昨日は当初の予定とは全く違う探索結果となったため、少し部屋で色々確かめた後にもう一回行こうかと思っている。
まず先に、クラスチェンジにて錬成師になった特典で錬成魔術の習熟度にボーナスが入ったから、それを確かめよう。
-------------
習熟度
錬成魔術:2500(3000)
鑑定魔術:480(500)
強化魔術:0(500)
禁書:0(500)
固有魔術【チャック】:350(500)
-------------
錬成魔術の習熟度がかなり上がっているのは、クラスチェンジと一緒にワーウルフとの戦闘も影響してるんだろう。
強化魔術と禁書カテゴリが増えているところを見ると、また今度魔術が使えるようになったら増えていくのだろう。
錬成魔術に対して【鑑定】を使ってみる。
-------------
錬成魔術
【変異】
【範囲変異】
【刻印】
-------------
錬成師になったからだろうか、【刻印】という魔術が増えている。
名前的に対象に対して何かを刻み込む…って所だろうか。今までの魔術の効果を思い出すと、これもまた指定したモノに対して変化を及ぼすものなんだろう。
強化魔術にも【鑑定】を試してみる。
-------------
強化魔術
【身体強化】
-------------
ひどく分かりやすい魔術だ。
これを自分にかけることによって、何かしらのステータスにバフがかかるんだろう。
今度試してみる価値はある。
「さて、次は…アレかな」
もちろん、禁書の事だ。
バニーさん(NPC)は使うとデメリットがあると言っていたが、どれくらい重いものなのかも気になる。
インベントリを開き、入っている禁書を取り出す。
黒色の本が出てくる。
「【鑑定】…は弾かれたか。自分で調べていくしかないかぁ」
と言いつつ開いてみる。
1ページ目には特に何も書かれていない…というより、全ページに何も書かれていない。
どういうことだろうか、と考えていると目の前にログが出現する。
『禁書の研究を開始しますか?(所要時間:24h) YES/NO』
「あー…研究進めると禁書の魔術が使えるよって感じなのかな。一応YESで」
YESを押すと、本自体にタイムログが出てくる。現時点からゲーム内で24時間後に研究が完了するために、他の事をしよう。
-----------------------
宿から出て、街の方へ繰り出した。
そういえば、そもそもこのゲームが始まってから街をきちんと探索していなかった。
最初にログインした広場でどこに行こうかな、と迷っていると
「おやぁ、くろえちゃん。きぐうだねぇ」
「……赤ずきんさん、奇遇ですね」
広場に赤ずきんが来た。
今回はもう一人、同じような赤い頭巾を付けた女の子を連れている。
「あぁ、こっちはわたしのともだちの、はいかぶりちゃんだよ」
「どうも、クロエさん。灰被りと申します。以後お見知りおきを」
「あぁ丁寧にどうも…で、赤ずきんさんと灰被りさんはどうしてここに?」
みるからに初心者ではないし、周りのこちらを見る目の中にある程度の畏怖が混ざっていることから、彼女らは別にこの街でPK回避しなくてもあまり問題はないだろうし。
「それはぁえっとぉー」
「この時間帯は、うちのサバトがこの街の巡回担当になってるんです。こんなゲームですから、ある程度プレイヤー側で自衛できるように、ってことで何個かのサバトが都市毎に巡回してるんですよ」
「へぇ…結構ちゃんとしてるんですねそういうところ」
地味に意外だった。
WOAというゲーム的に、いくら自衛団みたいな組織ができたところで、そんな組織同士の繋がりがあるとは思わなかった。
私もどこかのサバトに入った方が、安全に狩りはできるかもしれない。
「それでぇくろえちゃんはどうしてここにぃ?」
「今日はちょっとこの街を探索しようかなって思ってまして、何処に行こうか迷ってたんですよ」
「それなら私たちについてきますか?巡回といってもある程度ぶらぶらしているだけですし、事件があったとしても私や赤ずきんさんがいれば迷惑はかけませんし」
ふむ、魅力的な提案だ。
相手は確実に色々なことを知ってるだろうし、この際教えてもらうのもいいかもしれない。
「じゃあお願いできますか?教えてもらいたいこともありますし」
「いいよぉ、じゃあいこうかぁー」
そういうことで、今日は赤ずきん達と行動することとなった。
-----------------------
始まりの街の様々な場所に連れて行ってもらった。
何度かお世話になった露店や、魔術に必要な呪具を売っている古物商、図書館や、これから何度か通うであろう教会など有用な場所を案内してもらい、これで街で迷うことはないだろうと思う。
今は休憩として、街の飲食店に立ち寄っている。
「あぁ、そういえば灰被りさん聞きたいことがあるんですけど」
「ん?なんですか?」
「最近聞いたんですけど、禁書ってアイテムがあるらしいじゃないですか、それってどんなアイテムなんです?」
私の言葉をきいて、灰被りはすこし顔を曇らせる。赤ずきんは食べるのに夢中でこちらの話を聞いていない。
「禁書は…そうですね、最近発見されたアイテムです。使うと強力な魔術が使える分、そのデメリットは計り知れません」
一応そこはバニーさんに聞いたため、知ってはいる。
「それに、まだ手に入るルートが確立されていないために、持っているユーザの数が少ないというのもあるので、どんな種類があるかもわかってないんです」
「へぇ…聞くだけだと結構危なそうだけど、コレクターには受けそうですね」
「コレクターだけだったらいいんですけどね…そういうアイテムに限って、PKたちはどこかからか集めてきて実戦で使ってくるんですよね…。厄介極まりない」
それはPKが故、なんじゃないだろうか…。
いろんなプレイヤーを狩っているからこそ、いろんなアイテムを持っている可能性がある。
「今日は色々教えてくれて助かりました」
「いえいえ、初心者に優しくするのはどのゲームでも先達の役目ですよ」
「またねぇーくろえちゃーん」
赤ずきんたちと別れる。
今日はかなりの情報を得られたから、このままログアウトでもいいだろう。
明日は禁書の研究も終わるし、色々頑張ることにしよう。