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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第二章 新しい土地で知ろう

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洞窟探検、その先は?

もしよかったら感想やご指摘などよろしくお願いします


地下の空洞にいくには、床下収納から下に続いている梯子を降りて行かねばならない。

そのため、普通に降りていると相手からすればただの的になってしまう。


それならば、と思い切ってそのまま飛び降りる。結構な高さがあるが、まぁ問題ないだろう。

私の考えが正しいのであれば、だが。


「【深影-影化】発動」


地面に足がつく前に【影化】を発動させる。

すると、着地せずそのまま自らの影へずぶぶ……と入っていくのに成功した。


「良かった、とりあえず着地?成功」


魔術師的には、普通は風の魔術を使って着地調整!とか、使い魔に着地を任せる!とかをやりたいのだが、出来ないものは仕方ない。

【影化】を解除し、外へ出る。


周囲を見渡しつつ、【霧海】にて敵の感知を行う。

猫型のホムンクルスが近くにいるが、こちらに近づいて来ないのは警戒されてるのだろうか。

解せぬ。


周囲はある種洞窟のようになっており、薄暗い。

等間隔にに並んで設置されている松明のようなものを感知したが、火が灯っていないために、その役割を果たしていないようだ。

現在居る場所は広場のようになっており、声が聴こえてきている方へ続く道の他に、4つ道がある。


「んん?」

「おやおやおや、奇遇なことで」


そして4つの道の中の一つから、リセットボタンが歩いてきていた。

じとっ、とした目をこちらへと向けているが。


「どうも。ここに居るってことは……」

「うん、恐らく他全てのポイントにもここに繋がる入り口があるかもね。……と、合流したからホムンクルスは返してね」


そう言いつつ、彼女は猫型ホムンクルスを回収する。

頭を撫でているが、そんな強く叩いていないはずだが……。

まぁいいだろう。


「どうします?このまま攻められそうなら攻めますか?それとも他のプレイヤー待ってからにします?」

「ははっ、愚問でしょ」

「ですよねー。じゃ擬似前衛やるんで」

「了解、PT組んでないから支援は出来ないからそのつもりで」


その言葉に片手を上げて返事の代わりにする。

返事をするよりもすることがあるからだ。


「【禁書行使-召喚-棚】発動、展開(オープン)【強化魔術一節】、【禁書行使-強化魔術一節-身体強化】及び【視界強化】、【禁書行使-第四章-憤怒】発動」

「うわ、こりゃ聞いてたよりも凄いなぁクロエさん」


一気に強化をかける。

戦闘が始まってからでは確実に間に合わないからだ。

そして、右手に持つ護身石の短剣に【怒煙】を付与する。これで準備は終了だ。


「さテ、行きまショう」

「あぁ、その状態になると声おかしくなるのね。納得したよ」


リセットボタンがなにやら言っているが、気にせずに前へ進む。

薄暗く視界が悪いが、【霧海】による感知のお陰で足場が悪いところなんかは直ぐに分かり、回避出来る。


リセットボタンも暗視かなにかの効果を持った魔術を使っているのだろう。

私が何も言わずとも、それらを回避してついてくる。


ある程度進んでいくと、聴こえてきていた声が歌を歌っているのだと気付いた。


『【バラの花輪だ】』『【手を繋ごうよ】』

「……これは?」

「何かの詠唱かな、聴いたことない歌だね」


このWOAのゲーム内では、他国の言語は自動的に翻訳され母国語へと変更される。

日本の歌ならば聴いたことがあってもおかしくはないが、聴こえてくる歌詞に聴き覚えは全くない。


それに気になるのは詠唱人数だ。

私の知っている詠唱をする魔術師が少ないからアレだが、同じ内容のモノを2人で区切って詠唱する、というのは普通なのだろうか。

そのことについてリセットボタンに聞いてみる。


「普通ではないかな。詠唱に関しては、複数人でするにしても息を合わせて同時に……ってのが基本だし。少なくとも私は聞いたことはないよ」

「と、言うコトは固有魔術ノ類……ですカね」

「その可能性は高いかな。気をつけた方がいいかも」


進むにつれ大きく聴こえるようになっていく歌を聴きながら、気を引き締める。

みれば、リセットボタンも複数のホムンクルスを呼び出し、いつ戦闘が起こっても問題ないように備えているようだ。


その時だった。


「っ!感知に反応!複数の不死系モンスター!前方!」

「防衛かなっ!もしかしなくても気付かれてるねこれ!」


【分裂槍】を【霧海】の霧経由で近づいて来ている不死系モンスターに複数お見舞いしつつ、周囲の警戒をする。

気付けば、いつのまにか先程まで聴こえてきていた歌もピタリと止まっている。


「ふふふ、またお客さんよハンス」「そうだねグリム。楽しもうか」

「リセットボタンさン良かったデスね、下手人は予想通りですヨ」

「あは、当たって欲しくはなかったなぁ……」


そして薄暗い洞窟の中、私達が進んでいた方向からは2人の子供が歩いてくる。


グリムと呼ばれた方の女の子は、絵本の不思議の国のアリスのような服を着て、楽しそうに笑っている。

ハンスと呼ばれた方の男の子は、小さいフロックコートを着て、グリムをエスコートしているように見える。


間違いない。

彼らがリセットボタンの言っていた【童話の人物】と呼ばれている2人組なのだろう。


「今日はお客さんが多いわ」「その分楽しいから良いんだけどね!」


彼らはそのまま何をするでもなく、話している。

殺すチャンスなのだろうが、あまりここで攻撃するべきではない気がする。


「……まさカノラスボスがすぐ二登場は予想出来ないでスヨ」

「でもやるしかないよねー、行こうか!」


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