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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第二章 新しい土地で知ろう

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さぁ潜入していこう

もしよかったら感想やご指摘などよろしくおねがいします


【霧海】にて周囲を索敵しながら、リセットボタンが探し出した不死系モンスターのポップ位置へと移動する。

いくらリセットボタンが協力してくれる、とは言ったものの罠にハメてくる可能性だってある。

警戒しておくに越したことはないだろう。


カフェから離れていくに従って増えていく不死系モンスターたちとなるべく戦闘にならないように【五里霧】を発動しておく。


「さてと、増えてきたってことはそろそろ着くってことだよね」


周囲の景色はコロッセウムの近くとは違い、徐々に破壊された建物が多くなっていく。

その分NPCと思われる死体も多くなり、血の臭いも濃くなっていく。

……本当にこういうところはリアルだなぁこのゲーム。


死体が多いという状況は、好ましくはない。

何せ、相手は死霊術を使うであろう魔術師なのだ。

死体が多ければ多いほど、その力も増していくようなものだ。


意図して死体を食う不死系モンスターの数を少なくしているのか分からないが、周囲にはあまりそういった特徴を持つモンスターは視認できていない。


「さて、と。ここかな」


走ること数分。

目の前には周りとは違い壊れていない状態で残っている民家が一軒。

リセットボタンがいうには、この中から不死系モンスターが出てきたのを確認したという。


確かに、周囲の建物が少なからずどこかを破壊されている状況で、全く傷ついていないのは不自然だ。

中に前回の侵略イベントのようなモンスター召喚系の魔法陣がある可能性もある。

その場合、開けた瞬間に大量のモンスターがポップして、一種のモンスターボックスのようになる可能性は低くはない。


「じゃあ、これで行こうかな」


右手に護身石の短剣を持ち、それを民家の扉へと突き立てる。

そしてそのまま【魔力装】を発動させ、刃先から30センチほど魔力の刃を伸ばす。

これで穴が開いた。


この穴から先に【霧海】を流し込み、できる限りの感知にて中を探っていく。

ゆっくりしている時間はないが、ここで不用意に入って罠にかかって死ぬよりかはマシだろう。


……罠無し、敵影も無し。いけるかな?

できる限り民家の中に【霧海】を充満させた状態で中に入るのが、私にとってのベストなのだ。

少し思いついた作戦も実行しやすくなるし。


そして1、2分ほど【霧海】を流し込んだ後、扉を開け中へと入る。

感知によってわかっていたことだったが、中はモンスターによって荒らされており、外ほど綺麗というわけではなかった。

いくつか骨も見つけたが、おそらくはこの家の持ち主のものだろう。


……うん、何もない。魔法陣すらどこにも。

そう、何もないのだ。

死霊術者……リセットボタンがいうには、グリムとハンスだったか。

その2人に繋がるような痕跡が一つもない。


「……ん?」


ここで、微かに何か聴こえてきた。

下のほうからだ。


『……に』『は……さ……』


よく聞き取れないが、歌……だろうか。

歌が聴こえるということは、どこかからそこに通じているということだ。

【霧海】を使い、どこかに侵入できる所がないかを確かめる。


すると、民家のキッチン。

そこの床下収納に、明らかにおかしいサイズの空洞が繋がっているのが分かった。

……ビンゴ、だったかな。


肩に乗っている猫型のホムンクルスの頭を叩きつつ、M-51:レイジーのフードを被る。

現在【五里霧】を発動させているとは言っても、そのステルス効果は完全じゃあない。

出来るだけそのステルス効果を高めるために、M-51:レイジーに付与されている効果である『隠蔽状態時に発見されにくくなる』を出来る限り発揮できるように、周囲に何もいないのはわかっているが、物陰に隠れつつキッチンへと近づいていく。


敵の拠点に攻め込む場合、侵入者が一番掛かりやすい罠は何か。

入口に仕掛けられた罠だろう。鳴り子然り爆発物然りだ。

一番最初に突破すべき罠だから、引っかかるものは少ないだろう?


その考えこそがそれらの罠を罠足らしめている要因だ。

引っかかるものは少ないだろう。事実そうなのだろう。最初の一歩で躓いているくらいでは戦力外にも程がある。

しかしだ。そういう考えを持ち始めた頃が一番引っかかるのだ。


どこか難度が低い罠と、一つの罠に対し舐めてかかるようになるのだ。

そして舐めてかかった結果。想定よりもレベルの高い罠にかかり、そのままお陀仏する。


「だからこそ、ここは気を抜けない」


それに私だったら、一番最初の入り口に一番難度の高い罠を仕掛けるだろう。

そりゃそうだ。そこで全滅させられればいいのだから。


今回の相手もそう考えている可能性がある。

入口で殺せばいいと。

だからこそ、私は……。


「この手を使うよね」


床下収納の扉を開け、そのままの流れで、肩に乗る猫型ホムンクルスを中に叩き込む。

見る人が見たら激怒しそうな光景だが、別にこれはゲームの世界なのだ。

私もさすがに罠があると分かっているところに猫を投げ込むような趣味はしていない。


「……大丈夫そう、かな。行こう」


感知しかできない私には、罠を発見するには視界内に捉え【鑑定】にてマグレにて発見するか、食らいにいくかのどちらかになるのだ。

今回、高確率で戦闘があるであろうと考えたため、さすがに食らうのはまずい。

ついでに、視界内に捉えるというのも顔を出さねばならないため、いくら【五里霧】とM-51:レイジーのステルス、隠蔽能力があったとしてもやりたくはない手だったのだ。


だからこそ、替えが効くリセットボタンのホムンクルスを使った。

それだけである。

まだ感覚共有切ってなかったように見えたが、他意はないのだ。絶対に。


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