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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第二章 新しい土地で知ろう

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戦力増強のための下準備1

もしよかったら感想、ご指摘などよろしくお願いします


「発動」


短くそう呟く。

すると、手には苦無のような形をした【魔力装】が出現する。

形にするのは出来た。しかしここからが問題だった。


手から離れる瞬間に、この固有魔術は解除されてしまうのだ。

床に落とそうにも、投げようにも、肌から離れるといった行為をしようとすると解除されてしまう。


「うーん……分からないなぁ」


【魔力装】は、固有魔術の使用者の魔力を使い様々なモノを作り出せる固有魔術だ(と私は思っている)。

イメージ次第では飛び道具なんかも簡単に作れると踏んでいたのだが……。


「もうちょい詳しく調べてみようかな?【霧海】発動」


私の持つ魔術の中で調べる、検証に向いている魔術は、【鑑定】か今使用した【霧海】しか無い。

【霧海】は感知が出来る。

……感知が出来る、と言ってもその感知種類は様々だ。


例えば相手の動きを感知する、動体感知。

これは戦闘で私がよく使う感知だ。

戦闘中、相手の動きを感知することが出来れば、動きを合わせて相手の首に短剣を突き立てる事が容易くなる。かなり重宝する感知だ。


そして魔力感知。

周囲の魔力など、動体感知で捕捉した相手の操る魔力の動きを感知するためのものだ。

これも主には戦闘中に使う感知である。

魔力の動きを感知することが出来れば、相手が何かしらの魔術を使おうとしているのが分かるため、回避行動に移りやすくなる。


今回使うのは、魔力感知の方だ。


「さってとー?どうなってるのかなー?」


霧を手の近くへと集め、もう一度【魔力装】を発動させる。

今回は感知しやすいように長剣の形で面積を大きくした。


「うわ気持ち悪っ」


感知してみると、【魔力装】にて作った長剣は確かに魔力の塊であった。

しかし、直接握っている柄の部分。ここが問題だった。

粘着テープの粘着面の様に、私の肌にねちょーっと魔力の線が繋がっていたのだ。しかも細く無数に。


「うわぁ、ネバネバしてるみたいじゃん……なにこれぇ……」


これは感知しない方が良かったんじゃないかとさえ思えてくるほどに、背筋がぞわぞわっとする。

まぁ仕方ないし、実際ネバっているわけではないためこのまま進めよう。


次は長剣をこのまま地面に落とす。

すると、だ。


「あぁ……何でか分かった。……これ魔力の線繋いでないと配給元が無くなって直ぐに魔力が霧散しちゃうのか」


魔力の線が全て切れたと同時に長剣は消えていった。

ふむ、これさえ分かってしまえば、あとは何とかなるかもしれない。


要は、その魔力の線が切れない様にすれば良いのだ。

ではどうやって?……手のひらの魔力を操る他無いだろう。


今度は【魔力装】にて短剣を作り出す。

今作り出せる物の中では、一番形のクオリティが高い物だ。

おそらく、初期の頃【変異】にてずっと短剣を作り出していた為に、頭の中に細かいイメージが記憶されているのだろう。


そしてそのまま、柄を握る右手を見る。

【魔力装】の細部を頭の中でイメージする。


現在の私の使う【魔力装】はいわば、穴の空いたバケツだ。しかも特大の穴が空いている。

それに加え、私の魔力という水の中に入っているために何とかバケツの中を満たせているという、いわば欠陥品。


それを穴を修復……塞ぐ様にイメージする。

水の中から出しても中身がこぼれない様に。


「うわなにこれ、結構魔力持ってかれる……?!」


ボフン、と軽い音を立て手に持っていた【魔力装】の短剣が爆発して霧散した。

手に痛みがないため特に害のあるものではなあようだが……。


「単純に魔力を込めすぎたって事かな?」


バケツの穴を塞ぐつもりが、廃棄してしまった。

これではいけない。

次はもう少し魔力の量に気をつけてやってみよう。



-----------------------



「よし、出来たっ」


あの後何回か爆発させてしまったが、やっとの事で成功させる。

【霧海】にて魔力感知させてみると、魔力の線が一本の太い線になって手の平から出ているのが分かる。


短剣を机に置いてみる。

手から離してみる、が一応【魔力装】がすぐに消えることは無かった。

しかし、【霧海】の感知にてブチブチと魔力の線が切れていくのを感じたため、もう一度握り直す。


「多分柄と手の間、15センチくらいだったよね……これでぶちぶちいっちゃうのはマズイなぁ」


と言っても、これ以上どうしようもない。

現状、手持ちの魔術を使ったところで魔力の線を補強できるとは思えないしね。

飛び道具ではないが、暫くは鉤縄の様な武器を【魔力装】で作り使うしかないだろう。


しかし、少ない時間ではあるが手から離れても消えなくなったというのは便利だ。


「さてと、とりあえず気を取り直して次行こう」


これ以上進展は望めないであろう【魔力装】のことは一旦忘れ、【過ぎた薬は猛毒に】の実験、習熟度上げへと移ることにする。


「コップも作れるんだし、このまま【魔力装】使っちゃうかな」


手元の短剣を変形させ、コップにする。

これで【過ぎた薬は猛毒に】で作り出した毒を撒き散らさずに済む。

……こういうところも便利ではあるんだよね、【魔力装】。


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