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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第二章 新しい土地で知ろう

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手に入れた新しい力

もしよかったら感想やご指摘などよろしくおねがいします


ホーネットが消えていくのを確認しつつ、一応【霧海】にて周囲を確認する。

彼が最後、なぜあの状態で参ったと言わなかったのか気になり、一応感知してみたが周りには依然誰もいない様子。


「一応、これは勝利報酬ってことで」


ホーネットがドロップした固有魔術の魔術書を手に取る。

そして、その辺の樹の下まで行き最近出番のなかった【影化】を使用する。

一応、【霧海】で周囲に生物が感知できなかったとしても、リーンの森での一件もある。

……本当は宿に戻って確認したほうが一番なのだろうが、まぁあまり変わらないだろうしね。


「さってと、どんな固有魔術かな」

『【固有魔術-魔力装】を習得しました。』


【魔力装】。

恐らくだが、彼が使っていた光の剣や盾なんかがこれによって発現していたものなのだろう。

今回は効果を確認せずに使ってみようかと思う。

あまり複雑な効果には見えなかったし、たまに考えていたのだがイメージによってある程度魔術の形状や効果をある程度変化させられるため、実験的に効果を見ないで発動させてみようと思う。


「【魔力装】発動」


手にポゥ…と群青色の光が集まる。

それだけだ。


「あー……まぁ何もイメージしてなかったしそりゃあそうだよね」


一度、【魔力装】を解き、一度短剣の形を思い浮かべながらもう一度発動させる。

すると、手にサバイバルナイフ程度の大きさの群青色の短剣型の光の塊が出来上がる。

……うん、大体予想通り。


イメージにしたものを魔力で形作る固有魔術でおそらく合っているだろう。

色に関しては、魔力を使って形を作るために使用者ごとに色が違うのではないか、と考えた。

まぁ、これと似たような固有魔術があるのなら、色に関して私の考えがあっているかどうかがわかるのだが。


「ま、それはいいとして。……これってこの状態から形変えられるのかな」


【爆破槍】や【分裂槍】と同じように、改めて魔力を【魔力装】に対し流し込んでみる。

すると、ぐにゃんぐにゃんと輪郭が波打つようにブレ始めた。

一応この状態でウォーハンマー……戦鎚と呼ばれるものをイメージしてみる。


すると、短剣だったそれは形状をイメージした通りの戦鎚へと変化させた。

……これは、かなり便利かもしれない。

では次の実験にいこう。


「一旦解除して、と。取り出したるはー、護身石の短剣」


インベントリ内から護身石の短剣を取り出し、それに魔力を纏わせるようなイメージで【魔力装】を発動させる。

すると、うっすらと護身石の短剣の刃の表面に群青色の魔力が鞘のように覆いかぶさった。


「ふむ、一応武器に対して纏わせるってことも可能と」


そのまま魔力を流し、【魔力装】の部分を伸ばしていく。

イメージとしては、両手剣程度の長さまで。

イメージ通りの長さまで伸ばした後、軽く振ってみる。


……これ、やっぱり重さが全くない。

形作っている素材が魔力だからか、重さが全くないのだ。

普通の装備にしろ、武器にしろ、重さという概念は少なからず存在する。


ステータスが上がることで、持つことのできる装備の幅が広がるが、今回のこの【魔力装】はその概念すらすっ飛ばしている。

重さが全くない、形状を好きなものに変えられる魔力の装備。


思えば、ホーネットが使っていた、カウンターか何かだと思っていたガキンガキン音を鳴らしていたものの正体はこれだったのだろう。

全身に薄く【魔力装】を纏い、攻撃を食らった瞬間にそこだけ魔力量を上げ防御力を上げる。


わかってしまえば簡単なネタだし、なるほどとも思うネタだ。

見た目騎士だからと言って鎧の隙間や私のように背後から襲い掛かったとしても【魔力装】によって阻まれ、そのまま普通に攻撃されてしまうのだから。

これほど汎用的に使える固有魔術も珍しいだろう。


「よっし、じゃあ最後に1個だけ実験してみよう」


短剣はもう使わないため、インベントリへと仕舞う。一応このときに代わりにMPポーションを取り出し一本丸々飲み干しておく。

魔力の消費が激しいというわけではないのだが、【影化】も使用しているため突然魔力切れになってしまう危険性もあるのだ。


さて、MPポーションの摂取も終わったところで、改めて【魔力装】を発動させる。

対象は左腕のぬいぐるみの偽腕に対してだ。

イメージは、身体……肩から偽腕に神経が通るように魔力を通すように。

魔力の線が、偽腕の芯に通るように、五本指のそれぞれに繋がり動かせるように魔力を通す。


「あは、やっぱり動かせるのと動かせないのとじゃ全然違うからね」


そしてこれまでの実験よりも少しばかり遅れて発動した【魔力装】は、ある意味で上手くはいったが、ある意味失敗したともいえる形となった。


偽腕にはうっすらと群青色の魔力が外を覆うように出現し、思ったように動かすことが可能となった。

……しかし問題が一点。消費魔力がとんでもない量になってしまっている。

【五里霧】以上の魔力を食い続ける偽腕。


「解除解除!……動かせた、ということに喜べばいいのかそれともある意味こんなことも可能な魔術を喜べばいいのか」


あるいは、やはり腕を治すため水精族の国に行かねばならないことを面倒に思うべきなのか。

まぁどこかで使える手かもしれないから、ある意味で成果はあった。

ありがとう、ホーネット。


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