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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第二章 新しい土地で知ろう

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森にて始まる決闘モドキ

もしよかったら感想、ご指摘などよろしくおねがいします


さて、ここで一度固有魔術の中の個人対象のものと複数対象のものの違いというのを確認しておこう。


まず個人対象。

これは分かりやすく、魔術の行使者を含めた個人に対して発動させる固有魔術だ。

当然ながら複数の対象に対して発動させることは出来ないし、あまり乱戦……集団戦では不向きとされる。


そして複数対象。

個人対象とは違い、多くの対象に対して発動させる固有魔術となる。

しかし、こちらはその対象数に引き換え威力が低くなっていたり、発動条件が設定されていたりと、制限が掛かっていたりするモノが多い。


私の持っている固有魔術は全部で3。

それらは【チャック】を除き、全て複数対象に分類される為、知らず識らずのうちに制限や威力減衰が入っているのかもしれない。


……なぜこんな話をし始めたのか?

理由は簡単だ。


個人対象だが複数対象でもある固有魔術持ちをこれから相手にするのだから。



-----------------------



ギアスの森 - PM


レギン近くにある森は、私の知っているリーンの森に似ているようでどこか違う……そんな森だった。

いや、違うのは当たり前なのだが、何がどう違うかと言われれば答えられない。

それくらいには似ている場所なのだ。


一応、【霧海】を薄く発動させ周囲に他のプレイヤーが居ないかだけを確認しておく。

まだ彼が私を罠にかけようと、仲間が周りに潜んでいる可能性もないわけじゃあないからだ。


「さて、この辺でいいでしょう」

「了解です」

「ではやりましょうか。ルールはどちらかが降参と言うまでは何をしてもOKというものです」

「ほう……なんでも?」

「えぇ、なんでもです。では始めます。このコインが地面に落ちたら開始で」


ホーネットはインベントリから出したコインを見せながら、私から距離を取る。

私はホーネットからは見えないよう、【チャック】内から護身石の短剣を取り出しておく。

これで準備は出来た。


キィン、とホーネットがコインを指で弾く。

クルクルと回転しながら飛ぶそれを眺めながら、【霧海】を戦闘用に濃く限定範囲内に発生させる。

これにはホーネットも驚いたようだが、特に何も言ってはこない。

戦闘用の準備だと思ったのだろう。


【五里霧】を発動待機させつつ、濃い霧で見えなくなった地面に対し【チャック】を発動させる。

どこに?コインが落ちるであろう落下地点にだ。


コインが【チャック】内に落ちていくのを感じながら、ここで【五里霧】を発動させる。

先程発動させなかったのは単純に、発動させた後の時間を確保したかったためだ。


そしてそのままに、彼の背後まで移動する。

ルール違反?いやいや。コインが落ちる前に彼に危害を加えなきゃいい、そういうことでしょう?

なら危害を加えていないのだからセーフである。


【チャック】を使いコインを取り出し、そこら辺へと投げつける。

それは金属音を立てながら石へとぶつかり、私はホーネットの首を後ろから短剣で薙いだ。


ガキン、という音と共に何かに防がれ、そのまま何かが迫って来るのを【霧海】で感知したため、後ろへ倒れるようにして避ける。


そしてそのまま、【変異-仮名・爆破槍】を【怒煙】付きで4つ射出する。

しかし、それも光る不定形の盾で防がれる。

【怒煙】が効果を発揮しないところを見ると、固有魔術か何かだろうか。


……まぁやはりというべきか。ここまであからさまな不意打ちは通用しないかぁ。


「はは、やっぱり不意打ちしてきた」


【五里霧】を解きながら返事をする。


「あは、何のことやら」


体勢を立て直しつつ、短剣を軽く構える。

ホーネットはこちらに向き直りながら、不定形の光る剣を出現させる。

……あれ防げるんだろうか。


「じゃあ、いくよ」

「お手柔らかに」


その言葉と共に、ホーネットはこちらに突っ込んでくる。

それに合わせ、再び【爆破槍】を複数撃ち出しながら、相手の動きを【霧海】で感知する。

剣の方にも【霧海】での感知を走らせてみるが、詳細は分からない……しかし。


「その剣、魔力の塊ね……」

「おや、感知系魔術でも使われたかな」


魔力の塊。

恐らくは固有魔術で成形か何かしているのだろうが……つまりは戦闘中に形をいくらでも変えられるという事だ。

……受けるべきではないね。


ホーネットの振るう魔力の剣をいつもよりも余裕を持って避ける。

一応、どんな形に変わっても対処出来るようにだ。


そして【範囲変異】を使い落とし穴を掘る。

さて、もう少し考えて策を練っていこう。

最悪本当に自由自在に形が変えられるのならば、落とし穴さえ効かないのだから。


……どうしようかな。


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