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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第二章 新しい土地で知ろう

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到着、遭遇

もしよかったら感想やご指摘などよろしくお願いします


ドミネ首都 レギン - PM


まだ実装されて間もないためか、簡素ではあるが賑わう駅に降り立つ。

知らない匂いがする国、街に来たのだ。

ちら、と周りを見渡すとヴェールズに比べ褐色肌の人が多いように見える。


そういえば数少ないこのゲームでの知り合い達からは、火精族の特徴を教えてもらっていなかったことを思い出した。

失敗した。これではどれが火精族かそれ以外かよく分からない。


「はぁ……まぁとりあえず入国審査済ませちゃおう」


現実にあるように、このWOAで入国する際も審査が必要となる。

……といっても、ゲームはゲームなので基本的にゲーム内での犯罪歴の確認程度だ。

PK数、窃盗、強盗など犯罪の種類も多岐に渡るため調べるのは大変ではないか?と思ったが、前に共に入国審査を受けた赤ずきんに寄れば、


「あぁ、調べる用の魔道具があるんだよ。水晶型。設定的には古の魔術師が〜って代物らしいけど、簡単に表示改竄できるからネ」


という事らしい。


いつか読んだ異世界転生系のライトノベルで、こういうステータス読み取りアイテムあったなぁとふと思い出し、少しだけ笑う。

よくよく考えてみれば、私の現状も一昔前から見てみればライトノベルのような夢物語だったのだ。


「いやはや、人の技術の進歩は素晴らしいってねー」


そんな事を考えながら、特に問題も起きず入国審査を終え、火精族の国ドミネ、その首都であるレギンの中へ進んで行く。


ヴェールズは西洋風な街並みだったが、こちらはどちらかといえば……そう。

和風な建物が多い印象を受ける。


旅館のような建物だったり、京都奈良の方へ行けばまだありそうな古き良き店があったりと、ある意味で新鮮だ。

また、そんな風景の中で目を引くのは褐色の肌をした……おそらく火精族のNPC達の格好だ。


私も流石に歴史の教科書でうっすら見たような記憶がある程度なのだが、記憶が確かならば明治時代初期に流行っていた服を着て歩いているのだ。


「いやぁ、これ見れただけでも来た甲斐あったなぁ……」

「あら、貴女レギン初めてなの?」

「なら丁度いい、案内してやろうか?」


突然声を掛けられ、肩を叩かれた。

あまりにも自然だったために、一瞬何がなんだか分からずにそのまま振り返ろうとしたが、そのまま距離をとる。

踏み込まれても剣が届かない程度、だがそれが何をするにも一番確実な距離だ。


魔術師……プレイヤーはあくまでも魔術が使えるだけで超人ではない。

剣で切られれば死ぬし、弓で頭撃たれれば死ぬし、そこらへんで事故に巻き込まれて簡単に死ぬ。


だからこそ、皆PKする時に魔術よりも武器を主に使うのだ。

私だってそう。帽子屋もそう。列車で最後に戦った男もそう。

簡単に殺せるから。魔力を使わないから。現実にもあるものだから。感覚で何処に刺せばいいか分かるから。


だが魔術は違う。

簡単に防ぐことが出来てしまう。吸収されてしまう。相手を強化する要因にすらなってしまう恐れもある。


だからこそ、皆自らのイメージで既存や固有の魔術の形を歪め整形し発動させているのだ。

人を殺しやすいように。傷をつけやすいように。出来るだけ敵を苦しめられるように。


「えっと、私の記憶が確かなら初めまして、ですよね」

「えぇそうね、初めまして。……列車では私の矢を見事に防いでくれたようで」


矢……?

もしかして、刀の男と戦う前にターン制戦闘繰り広げた相手方だろうか。

ちら、と警戒しつつももう一人の方をみる。

……見たことのある顔だ。


「あ……」

「どうも。列車ではお世話になった。俺の名はリックだ」

「私はクリス。よろしくね」

「よろしくです。……で、案内とは?」


一瞬緩みかけたが、元敵ということは報復という可能性もある。

あの時殺したの私ではなくハロウなのだが。

私が訝しげにそう問いかけると、彼らは焦ったように首を横に振る。


「あぁ、いやいや。ホントに案内だけよ」

「そそ。俺らコロッセウム専門だから、こんな往来で襲いかかるとかしねぇよ」

「……はぁ」


警戒はしておくが、あまり心を許し過ぎてもマズイだろう。


「……一応話を聞くだけ聞きます。ここら辺にNPCが経営するカフェか何かは?」

「あ、あぁ。それならあっちにある」

「じゃあそこで。行きましょう」


ある程度強引に決定する。

知らない相手だが、一度殺しあった仲なのだ。

……顔は見ていなかったが。


これくらい強引に決めてしまっても問題ないだろうし、正直な話逃げるだけならば【五里霧】を使えばなんとかはなる。

ならば、話を聞くだけ聞いてその上で逃げるかどうするかを決めればいいだろう。


丁度、この国に知り合いも居なかったのだ。

便利な情報があったらもらっといたほうが良いだろうしね。

あと一番の問題といえば。


「早速で悪いんですが」


私は歩きながら、2人……リックとクリスに問いかける。


「なんだ?」

「あとで良い宿を教えてくれると助かります」

「……ふふ、わかったわ」


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