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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第二章 新しい土地で知ろう

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槍、炎、刀。どれが一番強いのか

もしよかったら感想やご指摘などよろしくおねがいします


「おわ、なんだあれ」


私の視点からみれば、ハロウが突然三人に増え、そのまま連携を取り始めた。

彼女はどういう操作をしているのかが地味に気になるが、それは今は置いといたほうがいいだろう。


戦いが始まり、十分程が経過した。

並みの集中力ならばとっくに切れている頃だし、そもそも戦闘という極度に緊張が続くこの空間で、集中力を保ち続けるというのは、ゲーム内だからと言ってもあまり現実的ではない。


そんな中で、突然相手が増えた男側は大変だろう。

しかもその相手が連携を取ってこちらを追い詰めてくるのだ。

……あれを実際に食らう前に見れただけ、幸運だったのかもしれない。


「……もうちょっとで大きな隙できそうかも」


ちょっとした予感がする。

この状況、どう考えても二人とも全力を出し戦闘している中で、私という余分な要素が完全に頭の中から消える一瞬があるはずだ。

そこを見つけ、準備している魔術を撃ち出す。


男が突っ込んで、ハロウの一人の結界で防がれる。

……まだだ。すぐに体制を整えている。


ハロウが炎を吐き出し男を焼こうとする

……まだだ。刀で防ぎ男は無傷だ。


男が二刀流で結界を断ち切り、そのまま一番奥のハロウへと特攻を仕掛けようとする。

……今だ。


「全魔術、射出」


宣言した瞬間。

私の周囲の床から、多くの槍が出現し男へと襲いかかる。

一見するとただ【怒煙】が付与されただけの槍にしか見えないが、槍の中に毒を入れるスペースが作られており、【過ぎた薬は猛毒に】で作った毒がそこに入っている。

槍が当たる、もしくは炸裂したときの破片に当たることで毒が少なからず注入、あるいは付着するというものだ。


ハロウ側も、私の魔術が発動したのを見たのか、魔力を高め魔術を発動する。


「ふふ、ありがとうね!【バーバ・ヤーガ】発動」


その瞬間、彼女の身体は再び1つになり、代わりに髑髏のランタンと持っていた杵が消えていく。

彼女の後ろから何か大きなものが出てこようとしているのが、直感的に分かった。

ずず、と空間に歪みが出来、そこから骨の指が出現し始める。


男はハロウが発動したのを一瞬驚愕したように、びくりと肩を動かせたが、すぐに後ろから飛んでくる私の槍に気付いたのか、刀を複数召喚させ応戦しようとする。


「起爆」

「っ!?」


されど、応戦するのはこの槍に……この魔術にとっては悪手なのだ。

男が持つ刀に槍が触れそうになった瞬間に破裂させる。

破片にも【怒煙】が付与されている状態になるために、破片全てを防ぐなりなんなりしなければ、確実に【怒煙】に身体の自由を奪われる。


【過ぎた薬は猛毒に】の毒がもう少し強いものだったら、とは思うがこれでも十分なものなのだ。

毒というものは、デバフとして現れる場合詳しくその毒について知れるわけではない。

HPの減りやその他の症状から、その毒がどんなものかを確かめるしかない、とハロウと話した時に聞いた。


運営がなぜそんな仕様にしたかはわからないが、聞くところによると学者系統と呼ばれるクラスには、そういう毒を解析できるらしい魔術があるらしいのだ。

それ以外に用意されていないのかどうかは、詳しく聞けなかったために分からない。


さて、男を見ると片腕を【怒煙】に侵され、毒は耐性か何かで防いだのだろう。

まぁ、実際作れたのは弱い毒のために、相手のデバフ耐性が高い場合防がれるのだろうな、とは考えていたのだ。


「がっ……てめぇ!!!」

「おや、こっちを見てていいので?」

「ふふ、こっちを見なくてもいいのだけどね」


見ると、ハロウの後ろから出てきていた骨の指の持ち主がきちんと出てきていた。

巨大な骸骨……言うなれば巨大ながしゃどくろが出現していた。

頭蓋の目と口に当たる位置からは、青白い炎が出てきている。


それに加え、そのがしゃどくろは先ほどまでハロウが持っていた髑髏のランタンを巨大化したもの、杵を巨大化したものを手にしている。


「ふふ、じゃさようなら」


がしゃどくろが巨大な炎を吐き出し、男を焼いた。



-----------------------



『おつかれさまでした。最後まで生き残った二人のプレイヤーには……これを進呈いたします』


男が火種としての役割を終えると、車内アナウンスが流れ始めた。

そして、プレゼントとして運営からメッセージが来ている。

開いてみると中身は……行き先のドミネにあるコロッセウムの観戦チケットだった。

それも決闘王者の試合だ。……いや、私はいいのだが。


「あー…ハロウさん?」

「あぁ、いいのよ。どうせなら3人に分かれて観戦と戦闘と睡眠に分かれさせればいいから」

「それはいいんですかね……」


運営のアナウンスによると、このまま少し経つと自動で列車が修復、イベント開始前のコンパートメント席に全員戻されるとのことなので、このままこの場所で待つことにした。


「あぁそうそう、ハロウさん聞きたいことがあったんですけど」

「ふふ、何?」

「いや、正直マナー違反なんですが、さっきの3人に増えるやつって操作とか視点とかどうなってるんです?少し気になるんですよね」


そう聞くと、ハロウは少し悩んだようにうなった後に、こういった。


「それは……そうね。今は企業秘密にしておくわ。いずれ教えてあげる」

「いずれ……?」

「コロッセウムに挑むんでしょう?あそこでまた会えた時に教えてあげるわ」


まぁ、いいだろう。

これにて、突発イベント終了。

今回は、手に入れたもの、勉強できたものが多いイベントだった。


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