刻一刻と近づくゴールライン
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総合評価ポイントが1000を突破しました!
これも、日ごろから応援してくださる皆さまのおかげです。
これからも応援、よろしくお願いします!!
……1000達成記念で、二話更新でもどこかに入れようかな
待つ事3分。
再び攻撃が来ることも、プレイヤー自身が突っ込んでくることもなかった。
「ふむ……一応罠の可能性もあるけど、こっちから踏み込んでみる?」
「私は今ハロウさんの生徒的立場なんで、先生の意志に従いますよーっと」
「じゃあ行きましょ、ここで待ってて戦える敵がほかにいなくなってたなんて嫌だもの」
というわけで、私はハロウについていく形で車両を前へ進んでいく。
【霧海】の感知では、先ほどまで2人組がいたらしき場所は濃い魔力が漂いすぎていて正確に情報が掴めなくなっているのだ。
……これも【霧海】を使う上でのデメリットなのだろう。今後同じような状況が出てくる可能性がある。覚えておこう。
「さてと、これで三両目ね。……って探すまでもなさそうだけど」
「そう、ですね……これはひどい」
問題の三両目。
ハロウの放った炎を限界まで防いでいたのだろう。両手両足が炭化した男と、もう一人。
完全に炭となった人だったものが転がっていた。
男のほうはまだ息があるようで、この状態でも魔術は放てるために警戒はしておいて損はないだろう。
「あら、【髑髏のランタン】を受けてまだ生きてるなんて割とタフね、貴方」
「……かはっ!は、ははっ、こんなところで会うとは思ってなかったよ、決闘王者」
「ふふ、やっぱり私の事知ってるのね。どうだったかしら?」
「やっぱコロッセウムで観るよりも喰らったほうが、強さがわかるってもんだな……」
「そ、ならよかったわ」
なんだか、良い雰囲気だ。
邪魔するのも悪いし、このまま私は前の車両へ【霧海】を侵入させようと扉の前へと移動する。
魔力が濃いと霧を操るどころか、出現させるのも難しいためにできるだけ扉に近づく必要があるのだ。
思っているよりも深刻なデメリットかもしれない。
ハロウとは距離が離れてしまうが、それによって危険になるのはハロウではなく弱い私の方だろう。
今すぐにでも、扉をぶち抜いて頭に矢が突き刺さるかもしれないし、扉ごと爆破される可能性もある。……一応私にも回避法がないわけでもないが、まだ慣れていないために十分な備えがあるとも言えないのだ。
『あは、獲物発見』
「っ!?」
「ハロウさん!!」
そしてその声は何本もの刀と共に頭上から降ってきた。
「やぁやぁ皆さんどうも。……って言ってもきちんと戦えそうなのは2人かな?楽しそうなのは1人しかいないけど」
列車の天井に大きな穴をあけ、そこから男が一人降りてくる。
パーカーのフードをかぶり、グラサンをかけ、ジーパンを履いている。
私が言うのも何だが、かなりファンタジーには合わない装備だった。
その男は刀を一振り新たにどこかから取り出しながら、こう言った。
「やぁやぁ決闘王者に、その旅仲間さん。これで生き残ってるのは俺らだけだぜ?感謝してくれ、雑魚は蹴散らしておいた」
「……ふぅん。さっきから少し空気に混じってた変な魔力は貴方のだったわけね?」
「おや、お気づきで。アンタがいるのわかった瞬間に他の参加者を殺しに回って正解だったかな」
「ふふ、いいでしょう。かかってきなさい……といっても、こっちは2人なのだけど良いのかしら?」
ハロウのその言葉に、彼は鼻で笑う。
「おいおい、流石に馬鹿にしないでくれよ?……折角、コロッセウム外でアンタと戦えるんだ。1人くらい初心者が混じってたくらいで、端っから俺らの戦いにゃ付いてこれねぇよ」
「へぇ……まぁいいわ」
ハロウさんはこちらへフレンドメッセージを飛ばしてくる。
今の会話の間に手を使ってメッセージを打ったとは思えないため、おそらくだが思考操作だけで入力したのだろう。
器用なことだ。
『シロさんへ
出来るだけ私が引き付けるから』
それだけだった。
たった二行、それしか書かれていない短いメッセージ。
それも宛名の部分を無くせば一行一文のみの、本当に短いメッセージだ。
しかし、言いたいことは伝わった。
「あは、じゃあ始めようか!!!【空刀】」
「初めから全力で行くから、着いてきてよね?刀使いさん。【湖に住む人食い婆さん】全開開放」
そして、この突発イベント最大の戦いが始まった。
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「流石にこれにどう混ざれって……?」
目の前で行われ始めたのは、一種の映画や何かでありそうな戦闘だった。
ハロウが髑髏に炎を多数吐き出させながらも、複数の小瓶を使い呪術で男の動きを制限しようとする。
が、男も男で突如空中から刀を射出し炎を相殺。そのまま小瓶が効果を発揮する前に対魔術効果でもついていそうな青く光る刀で叩ききっている。
そしてそのまま男がハロウをたたき切ろうと接近するも、ハロウは背後に短距離転移用の門を出現させ、後ろに倒れるようにしてそれを回避する。
そして転移した後に、杵を使いそこらの壁を叩く。すると、叩かれた壁からいくつもの岩の槍が出現し男を突き刺そうと襲い掛かる。
男もそれくらいは読んでいたのか、適当に刀を出現させ盾代わりに岩槍にぶつけ軌道をそらしながらもハロウヘと近づいていく。
「……これが、魔術を使った近距離型と遠距離型の戦いね」
正直な話をするならば、先ほど声に出した通りどうやってここに入っていけばいいのか分からない。
下手に割って入ろうとすれば、男の刀に叩ききられながらハロウの炎で焼かれる可能性もある。
……間違っても私のような、まだまだ魔術師になって間もないやつが体験するような戦いではない。
しかし、頼まれてしまったこともある。
先ほどもらったハロウからのメッセージ。
あれは、どう解釈しても横槍どころか、私にトドメをさしてくれと言っているようなものだ。
……裏を返せば、彼女1人では倒しきれない敵でもある、ということだが。
「さて、どうしたものか……考えよう」
弱者は強者の戦いを見て、学び、そして勝つための策を考えるとしますかね。




